まだ指の痛みと腫れが続きます。
メトトレキサートなどでは効果が不十分のようです。
生物学的製剤の使用を考たほうが良さそうです。
どういったお薬になりますか?
週1回、2週に1回、4週に1回と様々ですが点滴や注射のものになります。
値段が高いですが、効果は非常に強いです。
一度説明書をお渡しますので、目を通してみて下さい。
目次
リウマチ治療薬について
関節リウマチにおいて使用する生物学的製剤としては
- TNF-α阻害薬
- IL-6阻害薬
- CTLA4-Ig製剤
に大きく3つに分類されます。
生物学的製剤自体は関節リウマチ患者を早期に診断して、治療を行い、効果不十分であったり、肝・腎機能障害などによって従来型の合成DMARDsが使用出来ない場合などに使用することがあります。
今回はTNF-α阻害薬についての特徴について説明します。
TNF-α阻害薬の特徴について
簡単に言うと、痛みの原因の蛋白であるTNF-αを中和することによって痛み・炎症を抑えるお薬になります。
関節リウマチに対して生物学的製剤として初めて使用されるようになったのが、TNF-α阻害薬のインフリキシマブ(レミケード)であり、これが使用出来るようになったことが非常に画期的な出来事でした。
そこから、徐々に新しい薬剤が出てきており現在6種類が使用可能となっています。
現在使用出来るものとしては
- インフリキシマブ(レミケード、インフリキシマブBS)
- エタネルセプト(エンブレル、エタネルセプトBS)
- アダリムマブ(ヒュミラ)
- ゴリムマブ(シンポニー)
- セリトリズマブ・ペゴル(シムジア)
- オゾラリズマブ(ナノゾラ)
になります。
次にそれぞれのTNF-α阻害薬の特徴について説明します。
インフリキシマブ(レミケード)
- 商品名:レミケード、インフリキシマブBS
- 発売:2002年5月
- 日本で一番最初に使用可能となった生物学的製剤であり、効果や副作用に関して長期的な成績がある
- 使用方法:点滴製剤
- 3mg/kgの投与が基本だが、効果に合せて10mg/kgに増量でき、個々に合わせることが可能である
- 頻度:2ヶ月に1回の点滴 最初は初回・2週間後・6週間後に投与
- 値段:バイオシミラー(いわゆる後発品)あり比較的安価
- その他の特徴:
1.メトトレキサート併用が必須
2.全体の25%がマウス蛋白であり、アレルギー反応を起す可能性がある。特に投与開始時は注意が必要です。
エタネルセプト(エンブレル)
- 商品名:エンブレル、エタネルセプトBS
- 発売:2005年3月
- 使用方法:皮下注射
- 頻度:1週間に1回50mg 、1週間に2回25mg
- 値段:バイオシミラーあり比較的安価
- その他の特徴
1.妊娠中にも使用可能である
3.週1回製剤であるため、感染症や何かしらの合併症、手術などの際に中止による調整がしやすい
アダリムマブ(ヒュミラ)
- 発売:2008年6月
- 商品名:ヒュミラ、アダリムマブBS
- 使用方法:皮下注射
- 頻度:2週間に1回40mg
メトトレキサート非併用の場合には80mg使用可能 - 値段:バイオシミラーあり
ゴリムマブ(シンポニー)
- 発売:2011年9月
- 商品名:シンポニー
- 使用方法:皮下注射
- 頻度:4週間に1回50mg
- 値段:バイオシミラーなし
- 特徴
効果不十分の場合には100mgに増量可能で有るため、調整しやすい
4週間に1回であるため、自身での注射が困難な場合でも1ヶ月に1回外来注射ですむため、患者さんの労力の負担が少ない
セルトリズマブ・ペゴル(シムジア)
- 発売:2013年3月
- 商品名:シムジア
- 使用方法:皮下注射
- 頻度:2週間に1回(最初の3回は400mg)
- 値段:バイオシミラーなし
- 特徴
1.妊娠中も使用可能である:胎盤を通過することができないため胎児にはほとんど影響がなく、乳汁移行性も低いと言われているため、妊婦や授乳婦にも投与できる可能性があります
TNF-α阻害薬をどう使い分けるか
これまで5種類の薬剤について説明しましたが
- 投与方法:点滴 か 皮下注射か
- 頻度:週に1回、2週に1回、4週に1回など
- 値段:バイオシミラー有り無し
- 妊娠の希望
によって患者さんに勧める薬剤が変わってきます。
特に点滴か皮下注射か、頻度について患者さんの好みを確認しています。
たとえば自己注射が難しく、注射のためにクリニックに通われる場合は場合は2週間に1回のヒュミラや4週間に1回のシンポニーが勧められます。
金銭面的な点においては、やはりバイオシミラーのある薬剤をお勧めします。
また、妊娠の希望が有る場合にはエンブレルやシムジアをお勧め致します。
TNFα阻害薬の優れている点
- 長期使用の実績: 効果や副作用に関するデータが豊富に蓄積されている。
- 効果発現の速さ: 効果が早く出ることが多く、数日から1-2週間で効果が現れる。
- 投与方法や間隔の選択肢: 多様な投与方法や間隔の選択肢があるため、患者に合わせて柔軟に対応できる。
患者さんの個々に応じて相談しながら、提案可能な点が優れています。
TNF-α阻害薬の問題点
- メトトレキサート非併用の効果低下: メトトレキサート非併用では効果が落ちることがあり、特にレミケードは併用が必須。
- 2次無効のリスク: 最初は効果があっても、しばらくして効果がなくなることがある。2次無効はメトトレキサート併用していた方が少ない。
- 心不全患者には使用しにくい: 心不全の既往がある場合は、使用に注意が必要。
- ループス様症候群: TNF-α阻害薬によって、全身性エリテマトーデス(SLE)様の症状が出ることがある。これはTNF阻害薬を中止することで大半は改善します。
- 感染症リスク: 感染症、結核、肝炎の発症・再燃リスクがある。使用する前にスクリーニング検査が必要です。
まとめ
TNF-α阻害薬は、関節リウマチの治療において重要な位置を占める生物学的製剤です。5種類の薬剤があり、患者の個々の状況や希望に応じて選択が可能です。長期使用の実績や効果の速さが特徴ですが、使用に際しては慎重なスクリーニングと管理が必要です。