関節リウマチの治療薬の進歩によって、関節破壊を抑制することが可能になりました。
関節リウマチでは現在、関節破壊が起る前に早期診断して治療を開始し、いち早く寛解状態に持って行くよう治療が行われています。
一度破壊された関節は元通りには戻ることはありません。
関節リウマチによる関節破壊は発症2年以内に進行しやすいため、早期の診断を行うことによって、関節破壊が進行する前に手を打つことが関節破壊を予防することに繋がります。
昔は診断のための情報が少なく、レントゲン上に骨破壊が進行してから治療することがありましたが、近年は関節リウマチに関連する自己抗体や関節エコー、MRIなどといった技術が発展してきています。
目次
関節リウマチの早期診断はなぜ必要?
関節リウマチの診断では
- リウマトイド因子(RF)
- 抗CCP抗体(ACPAともいいます)
という2つの自己抗体が現在一般的に使用されています。
これらは必ずしも関節リウマチで陽性となるとは限りませんし、リウマトイド因子は関節リウマチ以外でも陽性となることも多々あります。
RF陰性、ACPA陰性といった検査値が陰性のことを血清反応陰性といいます。関節痛やこわばりなどの所見はあるものの、RFやACPAが陰性の人の診断が難しいのが現状です。
レントゲンで骨破壊があれば関節リウマチと診断出来ますが、「骨びらん」や「関節劣劇の狭小化」といった所見が出てくるには時間がかかります。
また、レントゲンで明らかな場合にはすでに関節破壊が進んでいる状態です。
近年はそういった関節破壊の所見が出る前に診断して治療することが好ましいと言われています。
そこで1つ有用なのが関節エコーとMRIです。
関節エコー
関節エコーでは滑膜炎といった炎症の所見を確認することが出来ます。
エコーの利点としては外来ですぐに検査を行うことが出来る事です。
滑膜炎の所見を確認することで関節リウマチの早期診断に繋がります。
また、外来診察の際に滑膜炎の所見が改善しているかどうか確認することで治療判定と治療の方針決定に役立ちます。
エコー所見は患者さんと一緒に見る事が出来るため、病状と治療について共通の認識を得る事が出来ます。
MRI検査
もう1つがMRIです。MRIでは単純と造影と有りますが、特に造影MRIが有用です。
造影MRIでは一般的にガドリニウムによる血管造影が行われます。これによって手足の関節リウマチに関係する所見を確認することが出来ます。
・関節炎(滑膜炎)
・骨髄浮腫
・骨びらん
・屈筋腱腱鞘炎
といった所見がレントゲンで関節破壊が認められない早期の段階で確認することが出来ます。
骨髄浮腫は骨びらんの前駆状態であり、関節破壊の予後を予測する因子と言われています。
関節エコーよりも検査する人による結果の差が出にくいといった利点があります。また関節エコーでは検査した本人は結果が分かりやすいものの、結果をみる側に上手く情報が伝わらないことがありますが、造影MRIはそういったことがありません。
ただし、関節エコーと比較して簡便さは劣りますので診断の際にのみ利用されることが大半です。また、造影剤のガドリニウムは稀に過敏反応を起すことがあるため、喘息や腎不全のある患者には行う事が出来ません。
またMRIは撮像可能な施設に取りに行って頂く必要があります。
早期診断の限界
関節エコーや造影MRIなどによって検査をしてもリウマチの証拠がそろわない場合は、身長に経過観察を行います。
「今は関節リウマチではありません。」
と説明することがありますが、前兆のような状態から関節リウマチに進行することがあります。
定期的に診察を行うことで早期診断出来る状態にしておけば、今後の関節リウマチに進行した場合にも関節破壊を防ぐことが出来ます。
関節痛のある患者様は一度ご相談下さい。