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乾癬性関節炎(PsA)とは
乾癬性関節炎は、皮膚の病気である乾癬に、腫れと痛みを伴う手足の関節炎を合併する病気です。
関節リウマチは滑膜を病変とする炎症性疾患ですが、乾癬性関節炎は腱や靭帯の付着部の炎症を中心とする炎症性疾患です。
手足の関節の腫れ・疼痛の症状が関節リウマチと似ており、関節リウマチと間違えられやすい疾患で、非常に悩ましい症例もあります。
疾患の頻度と特徴
乾癬といわれる皮膚疾患がある患者さんに後から関節症状が出てくることが一般的です。
乾癬は日本の人口の0.2-0.3%程度と言われていて、その内、乾癬性関節炎を発症するのが8~13%程度と言われています。日本においては3~5万人程度と推定されます。
乾癬性関節炎の症状と合併症
乾癬は、頭、耳の後ろ、臀部や腹部、そして下腿など分かりにくい場所に生じることがあります。そのため、患者さん自身も乾癬という皮膚病変があることに気づいていない事があります。
爪の変形も特徴の1つです。
脊椎病変が乾癬の8%程度に見られ、腰痛を生じ、仙腸関節の骨変化を認める場合があります。
その他
- 眼のぶどう膜炎
- 炎症性腸疾患(Crohn病など)
が見られることがあり
肥満、メタボリックシンドロームが多く、心筋梗塞のリスクが高いと言われています。
乾癬性関節炎の治療
炎症と痛みを抑える治療が基本となります。
それに加えて食事や運動などの生活習慣の改善も大切です。
内服薬としては
- 抹消関節炎・付着部炎
- 皮疹(乾癬)
- 体軸病変
これらのどこをターゲットとするかによって少し異なってきます。
治療薬としては
- メトトレキサート
- サラゾスルファピリジン
- TNF阻害薬
- IL17阻害薬
- IL23阻害薬
- PDE4阻害薬
- JAK阻害薬
など非常に種々の薬剤が使用されます。近年適応薬が増えてきています。
基本となる治療薬としてはメトトレキサート、サラゾスルファピリジンになりますが、内服薬で効果が不十分な関節炎、付着部炎、指趾炎、脊椎関節炎には生物学的製剤が用いられます。生物学的製剤は皮膚症状だけの尋常性乾癬にも効果があります。
病気の経過
乾癬性関節炎では、徐々に関節の破壊が生じて変形が進行します。
脊椎炎を合併している場合には背骨がくっついてしまい、強直といった状態になることがあり、日常生活に支障をきたします。
適切な加療を行い、生物学的製剤を使用することによって、関節炎・付着部炎の症状を緩和するだけでなく、骨破壊の抑制が可能ですので、早めに治療を開始することが大切です。
まとめ
手や足の関節炎の症状のある患者さんの中で、乾癬性関節炎の事があります。
正しく診断を行い、治療を早期から行うことで、関節破壊の抑制、背骨の強直の抑制が可能です。
関節痛や腰痛などの症状がある方は一度、専門の先生にご相談下さい。