リウマチの治療薬について特徴と種類をまとめさせて頂きました。
目次
経口薬(csDMARDs)
関節リウマチにおいてはメトトレキサートが第一選択ですが、患者さんの状態によっては使用出来ないことがあります。その場合その他の治療薬を用いることがあります。
免疫抑制薬 | 用法・用量 | 薬価 | ポイント |
メトトレキサート (リウマトレックス®) | 週2~16mg 週1-2日 | 232円/2mg | 関節リウマチの第一選択 副作用に注意 |
タクロリムス (プログラフ®) | 1回1~3mg 1日1回夕食後 | 389円/0.5mg 689/1mg | 間質性肺炎合併でも使用しやすい メトトレキサートの次に良く使用される経口免疫抑制薬 |
レフルノミド (アラバ®) | 1回10mg 1日1回 | 170円/10mg 296円/20mg | 日本人では間質性肺炎の副作用が多い |
免疫調節薬 | 用法・用量 | 薬価 | ポイント |
イグラチモド (ケアラム®) | 1回25mg 1日2回 | 155円/25mg | 痛みの軽減も期待 NSAIDsとの併用に注意 |
サラゾスルファピリジン (アザルフィジン®) | 1回500mg 1日2回 | 33円/250mg 56円/500mg | 間質性肺炎合併でも使用いやすい |
ブシラミン (リマチル®) | 1回300mg 1日3回 | 35円/50mg 57円/100mg | 蛋白尿に注意 定期的な尿検査が必要 |
生物学的製剤
- TNF阻害薬
- IL-6阻害薬
- T細胞刺激的共刺激調節薬
といった3種類があります。
TNF阻害薬
TNF阻害薬は生物学的製剤の中で一番使用されている種類になります。種類が多く、患者さんに合せて選択出来ることが特徴です。
注意としては、TNF阻害薬では中和抗体と言われるものが出来てしまうと生物学的製剤の効果がなくなってしまうことがあります。これを2次無効といいます。
メトトレキサートを併用することによって中和抗体の発生を抑制してくれます。
TNF阻害薬ではインフリキシマブ(レミケード®)についてはメトトレキサートの併用が必須となります。その他のTNF阻害薬では必須ではありませんが、中和抗体、効能の観点からメトトレキサートの併用が推奨されています。
レミケード | IFX BS | エンブレル | エタネルセプト BS | ヒュミラ | アダリムマブBS | シンポニー | シムジア | ||
投与方法 | 点滴2時間 | 点滴2時間 | 皮下注射 | 皮下注射 | 皮下注射 | 皮下注射 | 皮下注射 | 皮下注射 | |
投与頻度 | 1回/8週 | 1回/8週 | 1回/週 | 1回/週 | 1回/2週 | 1回/2週 | 1回/4週 | 1回/2週 | |
自己負担額 | 3割 | 2.9万 | 1.3万 | 2.6万 | 1.7万 | 3.3万 | 2.0万 | 3.4万 | 3.5万 |
1割 | 1.0万 | 0.4万 | 0.9万 | 0.6万 | 1.1万 | 0.7万 | 1.1万 | 1.2万 |
IL6阻害薬
メトトレキサートを併用しない場合でも効果が十分に得られる点や
高齢者の継続率が高く、貧血改善にも繋がり、大関節型にも有効であることから、今後の高齢関節リウマチ患者さんに勧められる薬剤になっています。
IL-6阻害薬の特徴としてCRPが陰性化することから、感染症が起った際に採血に現れにくくなるたえ、注意が必要です。
T細胞刺激的共刺激調節薬
オレンシアの特徴としては、他の生物学的製剤よりも感染症のリスクが低いことです。間質性肺炎合併していたり、肺疾患を持っているような症例に勧められる薬剤で、合併症の多い高齢者でもよく使われています。
アクテムラ | アクテムラ | ケブザラ | オレンシア | オレンシア | ||
投与方法 | 点滴 | 皮下注射 | 皮下注射 | 点滴 | 皮下注射 | |
投与頻度 | 1回/4週 | 1回/2週 | 1回/2週 | 1回/4週 | 1回/週 | |
自己負担額 | 3割 | 1.7万 | 1.9万 | 2.9万 | 3.3万 | 3.4万 |
1割 | 0.6万 | 0.6万 | 1.0万 | 1.1万 | 1.1万 |
JAK阻害薬
ゼルヤンツ | オルミエント | スマイラフ | リンヴォック | ジセレカ | |
投与方法 | 5mg×2回 | 4㎎×1回 | 150㎎×1回 | 15㎎×1回 | 200㎎×1回 |
3割 | 4.6万 | 4.7万 | 4.3万 | 4.6万 | 4.4万 |
1割 | 1.6万 | 1.6万 | 1.4万 | 1.5万 | 1.5万 |
JAK阻害薬はベース薬としてメトトレキサートを併用することが推奨されている薬剤です。(ただし、併用が難しい場合はJAK阻害薬単剤でも使用する場合もあります)
また、TNF阻害薬、IL-6阻害薬、オレンシアとの併用は出来ません。
帯状疱疹のリスクが少し高いことが言われています。
JAK阻害薬のメリットとしては経口摂取で、切れ味があって即効性があることです。皮下注射が苦手で躊躇されているかたは経口内服のために継続しやすい点が大きなメリットです。