目次

医師としての歩み

大学卒業後、医師免許を取得し、急性期医療センターで医師としての第一歩を踏み出しました。

最初に循環器内科を回り、3次救急病院で生死をさまよう患者さんと向き合いました。

特に台風後の事故による重症患者の治療経験は、今でも強く記憶に残っています。

土地柄、台風の多い地域で、ある日、屋根の修理をしていた男性が転落し、頭を強打して頸髄損傷による四肢麻痺を起こしました。元気だった方が突然、四肢が動かなくなり、呼吸すらままならず人工呼吸器を付けて苦しむ姿は、今でも私の心に深く刻まれています。

その後、研修医として2年間を過ごし、整形外科医として勤務する中で、多くの骨折患者と向き合い、年間200件以上の手術を経験しました。

特に高齢者の大腿骨近位部骨折の多さに驚き、その激しい痛みと死に直面する現実を痛感しました。

大学病院から慢性期病院へ

専門医制度により、急性期病院、大学病院、慢性疾患中心の病院での勤務を経験しました。

専門医制度で大学病院に回った際には、大学病院では、一つの分野にテーマを与えられ、私はリウマチに関する研究を担当しました。

この研究は、現在行われている治療の良し悪しを一つずつ確認する、非常に根気のいる作業でした。

しかし、私たちが今日良い医療を提供できるのは、先人の先生方が行った数々の研究の成果のおかげです。その積み重ねこそが、医療進歩を支えているのです。

治療の適応と内容、そして「なぜなのか?」という疑問を持って調べることの大切さを学ばせて頂きました。

人生100年時代を健康にすごすために

長寿の社会となり、人生100年時代と言われています。

私はまだまだ若輩者ではありますが、生きていくからには皆さんに歩いて笑顔で過ごして行って欲しいと思っています。

大腿骨頸部骨折を初めとする下肢の骨折を来すと、手術をしてもリハビリはなかなか進まず、一人で歩くことはままならない状態になり、長年住んでいた家に戻ることが出来なくなります。

今まで当たり前と思って生活していた環境が当たり前ではなくなります。そうではあって欲しくありません。

40歳を過ぎたらそれまで病気という病気がなかった方でも急に身体の機能は落ち、筋力・体力・脳がどんどん衰えていきます。

健康を保っていくためにはなにより予防医学が大切です。

生活習慣病として高血圧、高脂血症、糖尿病が代表的で皆さんもよくご存じであると思います。

そして、骨粗鬆症は予防医学の対象の1つです。

私の目標は、骨粗鬆症に関する情報を広め、そして地域の方の骨粗鬆症を早期発見して治療して骨折を無くしたいと思っています。

まず、骨粗鬆症は検査をしなければ骨折するまでは気付くことがありません。

「骨粗鬆症」というものを知って頂き、検査に来て頂くこと、これが第一歩であると考えています。

そのため地域、そしてネットなどを通じた情報提供を行っていきます。

病気への理解を深める

長寿社会を迎え、人生100年時代と言われています。この100年時代について深く考えるようになったのは、大学院生になってからです。

大学院では「骨の再生治療」に関する研究を始め、各地の地域診療にも関わらせていただきました。

今まで勤務していた病院とは異なり、手術を行うことなく、外来で患者さんと向き合う日々が続きました。この経験が、地に足をつけて患者さんと向き合い、病気への理解を深め、困っている症状をなんとかしたいという思いを育ててくれました。

患者さんの様々な症状や訴えにどう対処するかを考え、ニーズに合わせて病状を改善し、予防に努めることが重要だと気付きました。

そのために、多くの知識と技術の習得に励んできました。今では、超音波検査、内服やブロック注射、ハイドロリリース、リハビリなど、様々な手段を取り入れ、患者さんに最適な治療を提供しています。

リウマチ医を目指したきっかけ

手の関節の痛みで最初に受診するのは、ほとんどが整形外科です。

整形外科がリウマチ患者さんの登竜門となっていますが、専門性が分かれる中で整形外科医がリウマチ患者さんと接する機会は限られています。

それでも手の痛みを訴える患者さんを診るうちに、リウマチ治療についてもっと理解を深めたいと思うようになり、上司に相談してリウマチ外来での勤務をお願いしました。機会を与えてくださった上司には心から感謝しています。

大学病院でのリウマチ外来では、新規発症の患者さんから長年治療を受けている方まで、多様な関節リウマチの患者さんを診察しました。超音波で関節炎の所見を確認し、治療を進める中で痛みと腫れが消えていく様子には驚きと感動を覚えました。

リウマチ患者さんには、あらゆる関節の障害が生じる可能性があり、注射、装具、リハビリ、手術、骨粗鬆症といった整形外科的介入が必要です。現在、リウマチを専門とする整形外科医は減少していますが、リウマチ治療のトータルマネジメントには不可欠な存在でると実感します。

私もその一員として、患者さんのために最善の治療を提供できるよう努めていきます。

医師不足の地域へのクリニック開業

医師の数は増えているものの、その分布には大きな偏りがあります。

地方の医師不足や地域医療の専門医不足は深刻な問題です。例えば、10万人あたりの医師数は京都で332人、滋賀では236人。全国平均の253人を下回る滋賀は、住民に対して医師が不足しているのが現状です。

特に、湖西線沿線では外来リハビリテーション施設が不足しており、痛みやしびれに悩む方々が多くいます。変形、神経障害、骨折、事故による痛みとしびれは、放置すると精神的にも大きな影響を及ぼします。

湖西の皆さんに、健康で活力ある生活を送っていただくために、リハビリ併設の整形外科クリニックの設立を目指しています。

最後に

「患者さんに応じ、運動器を中心として患者全体を診るオーダーメイドの治療の提供」を目指しています。

地域の皆さんが安心して元気に過ごせるよう、良質な医療の提供に努めます。どうかよろしくお願いします。