有鉤骨(ゆうこうこつ)という単語はなかなか聞かないと思います。
スポーツや外傷で骨折することがあり、骨が癒合しにくく、偽関節となって痛みが残ることがあります。
今回は有鉤骨鉤骨折について説明致します。
目次
有鉤骨とは
有鉤骨は手の平の小指側にあります。
野球・ゴルフ・テニスなどのスポーツや、バイクのハンドルをグリップした際に当たる部位になります。
手のひら側に骨が出っ張っていて、手のひらに強い力が当たることで骨折します。
症状
有鉤骨鉤骨折では小指の付け根と手首の間に痛みが生じます。
直接外力による骨折や、疲労骨折を起こすこともあります。疲労骨折の場合は痛みが強く無い事があり、そのままスポーツを続られる程度の事があります。
また、骨折部が転位すると、付近を走行する尺骨動脈・神経、小指屈筋腱の損傷をきたす可能性があります。
そのため、そのまま放置していると骨折部が癒合せずに偽関節となり、痛みが残存し、小指が曲げにくい、小指がしびれるといった症状が現れることがあります。
診断
- レントゲン
- CT
- MRI
痛みを生じたきっかけがあり、小指の付け根に痛みと圧痛がある場合にはレントゲンを撮像します。
レントゲンでは転位が大きく無い場合には分かりにくい場合があるため、CTやMRIで精査を行うことがあります。
治療について
骨は尺骨動脈の枝より栄養を受けるが、29%の人で元々欠損していることもあり、骨折時には栄養が少なく、偽関節(骨が付かない状態)となりやすい傾向にあります。
転位がない場合にはギプス固定による治療を行う場合があります。
転位がある場合には骨が癒合しにくいため、手術加療を行うことがあります。
手術としては骨片摘出術とスクリュー固定があります。
スポーツ・仕事への早期復帰を目指す場合には摘出術が検討されるが、骨接合術に比べて握力低下の合併症を起こす可能性がやや高いため、注意が必要となります。
まとめ
有鉤骨鉤骨折はスポーツや外力で起ることがあり、転位によって疼痛やしびれなどを生じます。
レントゲンでは写りにくく、CTやMRIで診断することがあります。
転位が有る場合には偽関節になりやすく手術を行うことがあります。