上肢

【ヘバーデン結節】指の痛み、変形はヘバーデン結節かもしれません。

指が変形して、腫れているというと皆さんが一番気にされるのは関節リウマチかどうかでは無いでしょうか。

指が変形する原因は関節リウマチにもあり、ヘバーデン結節もその一つです。

今回はヘバーデン結節について解説します。

目次

指が変形して痛い

日本整形外科学会より

指が変形する原因の一つが変形性指関節症です。よく膝で変形膝とか変形性膝関節症などと聞いたことはありませんか?それが指で起ったものです。

変形性関節症というのは、長年関節を使ってきた結果、関節の軟骨がすり減り、骨の負担がかかって骨に変形が生じたものを言います。

特に第一関節(一番端にある関節、DIP関節)が変形したものを ヘバーデン結節 と言います。

これは1802年にWilliam HeberdenがDIP関節の硬い結節を報告したことに由来してヘバーデン結節という名前がついています。

ちなみに第2関節(端から2番目の関節、PIP関節)に生じたものをブシャール結節と言います。

ヘバーデン結節の症状

ヘバーデン結節はどの指にも起こりうるものです。

人によってはすべての指が変形してヘバーデン結節となり、ごつごつとしている事があります。

症状としては変形している部分に炎症が起ることで腫れて、痛みが出ます。物をつかんだり、強く握ったりすることも難しくなります。

変形が進んでくると落ち着いてしまって痛みが全く無い方もおられます。

また、変形が進むと伸ばしたり、曲げたりが健常な指ほど出来なくなり動きが悪くなります。

腫れた所に水ぶくれ?

またその関節近くに水ぶくれのようなものが出来ることがあり、ミューカシストといいます。

これはなかなか治りが悪いもので、水ぶくれを放置したり、針で刺したりしていると感染して化膿性関節炎と言われる状態になってしまうことがあります。ひとたび感染してしまうと抗生剤の治療が長い期間必要になることがあります。

そのため、水ぶくれが出来てきている場合には手術が好まれる場合があります。

決して、家で水を出したりしないで下さい。整形外科などで水ぶくれを指す場合には消毒を行い、菌が入りにくい状態で処置を行いますが、家での環境ですと消毒が十分ではなくばい菌が入りやすいため感染してしまいます。

なぜ変形してくるのか?

はっきりとした原因は分かっていません。

40歳以上の女性に多く、よく手を使う方に起りやすいと言われていて女性ホルモンなどが関係しているようです。

診断方法

ヘバーデン結節の診断はレントゲンや身体所見から行います。

身体所見では、関節の腫脹や熱感、痛み、動き具合を確認します。

特に関節リウマチとはレントゲンの所見が異なるため、レントゲンで関節リウマチと異なるとある程度診断出来ます。

レントゲンでは関節裂隙(関節の隙間)が狭くなり、骨棘といって骨の突起が出てきている場合はヘバーデン結節と診断します。

ヘバーデン結節では骨が負担により増殖しますが、一方で関節リウマチでは骨が溶けてくきて骨びらんというものを生じます。

レントゲンなどで関節リウマチが疑われる場合にはそちらの精査を行う必要があります。

治療方法

治療の基本は保存的治療になります。

大切なのは安静(固定やテーピング)や炎症鎮痛剤になります。

安静の方法としてはテーピングや指の固定装具を装着します。その他冷やして頂いたり、炎症鎮痛剤の内服、外用剤(湿布や塗り薬)などで痛みを抑えます。

あまりにも痛みが強く腫脹がある場合には関節注射(ステロイド)を行います。

痛みがある程度続く場合がありますが、ヘバーデン結節では時間が経つにつれて痛みが落ち着くことが大半ですので、上のようなことを行いながら痛みを和らげることが大切です。

そういった保存的治療で痛みが治まらない場合や変形がひどい場合では手術をすることがあります。

また、先ほどのミューカシストといって水ぶくれが有る場合は感染の温床になるため手術を行うことが多いです。

手術としては変形した水ぶくれの切除、骨棘の切除、関節固定・関節形成術などになります。

まとめ

ヘバーデン結節は高齢女性に多く見られる病気です。

関節リウマチと心配される患者さんも多く、きちんと検査して診断することでその心配を解消することが可能です。

指のことでお困りの際には一度整形外科にご相談下さい。

参考文献

1. Alexander CJ (1999) Heberden’s and Bouchard’s nodes. Ann Rheum Dis 58:675-678. doi: 10.1136/ard.58.11.675

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