リウマチ治療中に特に心配なのが、肺炎や帯状疱疹などの感染症です。
リウマチ治療では免疫抑制剤を使用するため、リウマチの活動性を抑えるだけでなく、細菌に対する免疫力も低下します。そのため、感染予防が非常に重要です。
目次
リウマチの患者さんが接種しておきたいワクチン
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌は肺炎の原因となる菌であり、肺炎以外にも慢性気道感染症、中耳炎、副鼻腔炎、敗血症などを引き起こすことがあります。肺炎は日本人の死因の第5位であり、中でも肺炎球菌による肺炎は成人の肺炎の25%~40%を占めています。
- ニューモバックス(5-6年に1回): 65歳以上に推奨。肺疾患などがある方は60歳以上で接種可能。通常1回の接種で5年以上の効果が持続し、インフルエンザのように毎年接種する必要はありません。
- プレベナー13(1回接種): 一度の接種で終生有効と言われています。プレベナー13は任意接種です。
現在肺炎球菌ワクチンの定期接種はニューモバックスのみで、プレベナー13は任意接種となっています。
両方のワクチンを接種することでより効果があります。接種の順番は以下の通りです。
- ニューモバックス接種後に1年以上空けてプレベナー13を接種。
- プレベナー13の接種後に半年~1年後にニューモバックスを接種。
帯状疱疹ワクチン
シングリックス: 50歳以上の方に推奨。2ヶ月以上空けて2回の接種が必要で、持続効果は推定10年以上です。シングリックスは生ワクチンではないため、リウマチ治療中でも使用可能です。接種後もまれに発症することがありますが、軽症で済みます。
インフルエンザワクチン
毎年のインフルエンザワクチンも全員接種を強くおすすめします。10-11月中の早めの接種が推奨されます。
バクトラミン(ST剤)
カビによるニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)は日本で多発しており、死亡する危険もある肺炎です。
リスクのある方には予防のために週2回1錠、または毎日0.5錠を内服して頂いています。ステロイド使用、高齢者、肺疾患などがリスクとなります。
定期的な検査
感染予防対策のために、定期的な胸部レントゲンのチェックや血液検査を行います。1年に1回はレントゲン評価(胸部、手・足)を行い、呼吸器障害の有無や関節変形の進行の有無を確認します。
まとめ
リウマチ治療中の感染症予防は、患者さんの健康と生活の質を守るために重要です。上記のワクチン接種や予防策を実施し、安全に治療を進めていきましょう。