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2次性骨粗鬆症について

私が外来で診させて頂いている患者に対しては、二度と骨折を起こさずに一生を送れるようにと思って治療に当たらせて頂いています。

診察の際には骨密度だではなく、元々お持ちの病気や使用しているお薬などから骨折のリスクを把握しています。

骨の強さ(骨密度)は若い頃をピークに年齢を重ねるにつれて徐々に減ってきますが、特に骨粗鬆症になりやすい原因があります。

何かを原因として骨粗鬆症になることを続発性(2次性)骨粗鬆症といいます。

続発性骨粗鬆症の原因としては

病気関連

  • 糖尿病
  • 慢性腎不全
  • 肺気
  • 関節リウマチ

治療関連として

  • ステロイド治療
  • ホルモン治療
  • 抗糖尿病薬、降圧薬

があります。

ステロイド治療と骨粗鬆症

骨粗鬆症は長期のステロイド使用の代表的な副作用の1つで、ステロイドユーザーの30~50%もの方が骨折を起こしていたという報告があります。

またステロイド治療開始後 非常に早期に骨密度が低下していき、数ヶ月で8~12%も骨量が減るといわれています。

そのため3ヶ月以上、ステロイド7.5mg以上の使用することが予想されるような方はステロイド治療に骨粗鬆症治療は欠かせません。

ステロイドは関節リウマチを始めとする炎症性疾患でしばしば用いられることがあります。

ステロイドの使用では、骨質が悪くなることが知られています。

骨密度の検査では、骨量を調べることになりますが、骨質は分かりません。そのため骨密度の検査では正常値にも関わらず、圧迫骨折などの脆弱性骨折を起こすことがあります。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版より

ステロイドユーザーに対する骨粗鬆症治療については、通常とは異なり、年齢、骨折歴、ステロイド量、骨密度で点数付けを行い、治療を開始します。

ホルモン治療と骨粗鬆症

乳癌や前立腺癌の患者に対するホルモン治療が骨粗鬆症のリスクとなってきます。

女性は閉経によって骨密度がぐんと低下していくわけですが、ホルモン治療によって閉経と同じような環境になってしまい、骨が脆くなっていきます。

ステロイドほどではありませんが、5年間のホルモン治療で骨密度が腰椎で6%、大腿骨で7%程度低下すると言われています7

まず、適度な運動をカルシウムの摂取が大切ですが、骨密度を定期的に測定し、骨粗鬆症の基準に入ってきた際には治療を開始する必要があります。

糖尿病に伴う骨粗鬆症

  • 罹患期間(かかっている期間)が長い
  • HbA1c>7.5%
  • インスリン治療中

糖尿病においてはこれを満たしている場合はリスクが高いと言われています。

糖尿病や慢性腎不全の患者は骨粗鬆症になりやすいということが言われています。

糖尿病では常に血糖値が高いことでストレスがかかり、骨の質が劣化します。1型糖尿病の患者では通常よりも大腿骨近位部骨折のリスクが6.9倍もあると言われています。

骨粗鬆症の診断にはYAM値(若い人と比べてどの程度の骨か)が用いられますが、通常は70%以下が骨粗鬆症の診断です。

糖尿病患者では骨折リスクが高いため、上記のリスクがある方は70~80%で治療開始するべきと言われています。

しかし、糖尿病をコントロールすることが出来れば骨を作る能力は改善しますので、糖尿病の治療をしっかりと受けて下さい。

慢性腎不全

慢性腎不全は年齢を重ねるにつれて高確率に起る疾患です。

そもそも高齢の患者が多く骨折のリスクが高いのですが、慢性腎不全があるとより一層リスクがあがると報告されています。

イベニティHPより

骨密度の検査の数値では慢性腎不全の方の骨折リスクを正確に測れない4)とも言われていて、慢性腎不全の患者は骨密度の数値以上に骨が脆い可能性があります。

腎臓が悪いとお薬が身体の中にたまる傾向にあるため、お薬の副作用が出やすいため薬剤を慎重に選択する必要があり、選択肢が限られます。

事前に骨の代謝マーカーで骨の吸収が過剰なタイプではないか確認して、そのリスクをチェックして副作用のリスクを事前に予測しています。

また、適宜採血を確認して、副作用が出てきていないか注意して見させて頂いています。

まとめ

日常にある糖尿病や慢性腎不全、ステロイド治療は骨粗鬆症を誘発し、骨折のリスクを上昇させます。

リスクのある患者は骨密度などを定期的に測定し、骨粗鬆症の早期発見・治療に当たることが骨折予防に大切です。

一度骨密度検査を受けてみてください。