手のこわばり、痛みや腫れの原因は関節リウマチ以外にも様々です。
一般的には6週間程度症状があり、指の第2,3関節が痛む場合はリウマチの可能性があります。
実際には整形外科疾患の事が多いですので、まず整形外科を受診して下さい。
QUESTION
質問コーナー
ここでは診療の際やメールで皆さんから質問についてお答え致します。
リウマチ
リハビリテーション
整形外科
骨粗鬆症
手のこわばり、痛みは関節リウマチか?
関節リウマチの診断方法
関節リウマチの診断は症状・血液検査・レントゲン・関節エコーなどを用いて総合的に行います。
それでも判断が難しい場合は造影MRIを用いる場合があります。
関節リウマチの治療薬
関節リウマチの治療ではメトトレキサートを初めとした免疫抑制剤・免疫調整剤、生物学的製剤、JAK阻害薬などを用います。
メトトレキサートが第一選択薬となりますが、患者様の併存症や肝・腎障害などに応じて治療薬を選択致します。
お薬は止められますか?
最近はメトトレキサートや生物学的製剤、JAK阻害薬によって関節リウマチを良好にコントロール出来るようになりました。
関節リウマチが落ち着いた段階で、治療薬を徐々に減量していきます。
生物学的製剤の休薬・中止に関しては、寛解を持続した患者さんの3割~4割が中止可能であったと報告されています。ただし中止による再発例もありますので、近年では減量の方が推奨されています。
リウマチ治療中に熱がでた場合
関節リウマチの治療中に熱が出た場合にはすぐに医療機関にご相談下さい。免疫抑制剤使用中の場合は重症感染のリスクがあり、熱の原因に応じて治療が必要となります。
発熱時は治療薬を中止することがあります。1-2週間の中止ではリウマチが再燃することはあまりありませんし、もし再燃した場合も再開すれば再度効果が得られます。
リウマトイド因子・抗CCP抗体が陽性の場合
抗CCP抗体が陽性の場合は関節リウマチの可能性が非常に高いと言えます。
また、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性の場合は関節リウマチによる関節破壊が進行しやすいと言われています。
リウマトイド因子と抗CCP抗体の基準値は?
いずれも採血で検査することが出来ます。
リウマトイド因子の 基準値は、15 IU/mL以下です。
抗CCP抗体の基準値は、4.5 U/mL未満です。
正常の方でもいずれも軽度陽性となることがありますが、3倍以上高い場合はリウマチの可能性が高いと言えます。
リウマチ因子が陰性なら関節リウマチではない?
関節リウマチの診断ではリウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体(ACPA)といった項目が用いられます。
リウマトイド因子、抗CCP抗体といった項目は関節リウマチで必ずしも陽性ではありません。陰性であっても関節リウマチの可能性があります。
高齢発症の場合は両方陰性の事が比較的多く、診断に苦慮する場合があります。その場合は症状とその他の検査項目から関節リウマチかどうかを検討することになります。
リウマチの費用について
リウマチの治療では、生物学的製剤など高額なお薬を使用することがあります。
その場合、医療費の助成制度を利用出来る事があります。
■ 高額療養費制度
医療機関や薬局の窓口で支払った1か月の医療費が、ある一定額を超えた場合にその超えた分の金額が支給される制度です。
- 世帯合算:同一の医療保険に加入する家族は、自己負担額を合算して申請する事ができます。
- 多数回該当:直近の12か月間に、同じ健康保険に加入している家族間(同一世帯)で、高額療養費の支給を3回以上受けている場合、4回目から自己負担限度額がさらに低くなります。
- 申請方法
高額療養費の支給(もしくは払い戻し)を受けるためには、事前申請と事後申請の2つの方法があります。
事前申請(支給):事前の手続きで「限度額適用認定証」の交付を受けることにより、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額以内にとどめることができます。
事後申請(払い戻し):受診時に医療機関の窓口に「限度額適用認定証」の提示ができなかった場合は、一時的に、医療機関の窓口で全額をお支払い頂くことになります。その後、加入している健康保険で手続きをすることで、払い戻しが受けられます。
■ 医療費控除
1年間にかかった医療費の総額が10万円を超えた場合、確定申告の際の手続きを行うことで、税金の一部が減額される制度です。
■ 付加給付
企業などの健康保険組合や共済組合によって、独自の給付制度を設けている場合があります。一定額を超えた分が付加金として給付されます。
当院ブログ 社会保障制度について
リウマチTEA ROOM 医療費制度について
健康保険組合によって条件が異なりますので、一度直接お問い合わせ下さい。
リハビリテーションの受け方
リハビリテーションを受けるためには医師の診断が必要になりますので、まずは一度受診頂く必要があります。
リハビリテーションの時間は初回は40分、その後は1回あたり20~40分が基本となります。
リハビリテーションは理学療法士と1対1で行うために時間予約制となります。予約につきましてはご連絡下さい。
リハビリはどういう時に行えますか
運動器リハビリテーションは
骨折や急な体の異常の際だけではなく、変形性膝関節症といった慢性的な病気によって体の機能が衰えてきている場合に行うことが出来ます。
痛みが強い場合は少し落ち着いた段階でリハビリを初めていくことをお勧めします。
鎮痛とリハビリテーションを合せて行うことでより早期に症状を緩和することが出来ますので、一度医師にご相談下さい。
リハビリテーションの料金
・運動器リハビリテーションは1単位20分あたり
1割負担:510円 3割負担:1530円
・物理療法は
1割負担:110円 3割負担:320円
装具の作成は可能でしょうか
当院で疾患に合わせた装具の作成は可能です。
装具屋が決まった曜日に来ておりますので、ご案内させて頂きます。
ギプス固定中の注意点
骨折や捻挫の場合、ギプスなどによる外固定を行うことがあります。ギプスの装着の合併症が発生することがあります。
骨折などの場合、ギプスを装着後に固定した部分の腫脹(はれ)が強くなると血行障害、神経麻痺を来すことがあります。以下の場合はすぐに医療機関を受診して下さい。
- ギプスを巻いている部分が締め付けられるような痛みやしびれを感じる。
- ギプスをしていない部分がむくんでいる、腫れている
- ギプスを巻いた部分の手足が冷たく感じたり、爪の色が白色や紫色になっている
このような症状が出た場合はすぐにギプスをカットする必要があります。
また日常では以下を心がけて下さい。
- ギプスを巻いている部位は、できるだけ高く上げておく
- ギプスが巻かれていない部分は、常に動かすように心がける
- ギプスは濡らさない
- 医師の指示なく取り外さないようにしましょう
なぜ骨が脆くなるのか?
骨は古い骨を溶かして(骨吸収)、新しい骨を作ります(骨形成)。
加齢や閉経に伴い、骨吸収>骨形成となって骨量が減少することで骨粗鬆症になります。
治療の原則はこの異常な状態を整えてあげることです。
骨密度の検査の費用
腰椎のみ 1割負担:360円 3割負担:1080円
腰椎+股関節 1割負担 450円 3割負担:1350円
基本的には腰椎+股関節で撮像させて頂いています。
骨粗鬆症の診断方法について
骨粗鬆症は骨密度検査(DXA)と骨折の既往(脆弱性骨折)から診断します。
骨密度ではYAM(若い方の平均値と比較した骨量の割合)、Tscoreといった項目が用いられます。
YAM 70未満 or Tscore -2.5未満
で骨粗鬆症の診断となります。
また脆弱性骨折と言われる骨折がある場合にはそれだけで骨粗鬆症と診断します。
骨折の危険性の高い骨粗鬆症
- 骨密度が若年成人と比較して(YAM)<60%(Tscore<-3.3)
- 背骨の骨折が2つ以上ある
- 背骨の骨折が高度に潰れている
- 骨密度が若年成人と比較して(YAM)<70%、かつ転倒などで骨折をしたことのある人
と骨密度が異常に低い、もしくは骨折の既往がある方はかなり骨折の危険性の高いと言えます。
この場合、積極的に骨密度を上げる治療が必要となります。
骨粗鬆症治療薬について
骨粗鬆症の治療薬は種々あります。内服、注射、点滴など様々です。
頻度も毎日、週1回、月1回、半年に1回など様々です。
患者様の骨粗鬆症の度合、状態、環境に応じて治療薬を提案させて頂きます。
骨粗鬆症治療薬の種類
骨粗鬆症の治療薬は
- 内服薬
- 注射
- 点滴
と色々な投与方法があります。また - 毎日、週1回、月1回、半年に1回、年1回
と多彩なバリエーションがありますので、患者様の背景に応じて提案致します。
ビタミンDについて
天然型ビタミンDは食事として摂取されるものと、皮膚で紫外線を浴びて合成されるものがあります。体内で活性型ビタミンDに変換されます。
活性型ビタミンDは腸管からのカルシウムおよびリンの吸収を高め、骨・ミネラル代謝の維持において重要な役割を担っています。
ビタミンDの低下はビスホスホネート等の骨粗鬆症治療薬の作用低下に繋がります。そのため治療開始時に25OHビタミンDを計測します。
- ビタミンD充足 30ng/ml以上
- ビタミンD不足 20~30ng/ml
- ビタミンD欠乏 20ng/ml未満
と診断します。不足状態では活性型ビタミンDの内服をお勧めします。
骨粗鬆症治療の効果判定・検査について
骨粗鬆症治療における治療効果判定方法として以下を用います。
- 骨密度(DXA)検査:半年~1年ごとに測定し、治療による変化を確認します。
- 骨代謝マーカー:治療開始後3~6ヶ月程度を目処に検査して、治療開始前と比較します。
- 1,25-(OH)2ビタミンD:活性型ビタミンD3製剤の内服中の場合、活性型ビタミンD3の血中濃度を測定することで治療効果判定を行います。
その他、治療による合併症が行っていないか確認するために、適宜CaやPなどのミネラルを含めて血液検査を行います。
治療前の歯科治療について
ビスホスホネート製剤などの骨粗鬆症治療薬の合併症として顎骨壊死が言われています。経口薬においては10万人年あたり1件未満と割合は少ないです。
ただし口腔環境が不良の場合には顎骨壊死を来す可能性が通常より上がります。そのため、治療前に以下をお願い致します。
・歯科検診を受け、十分な検査を行うこと。
・歯医者で抜歯などの処置が必要な場合には骨粗鬆症治療前に治療を完了して下さい。
骨粗鬆症治療開始後も定期的な歯科検診をお勧め致します。
治療中の歯科治療について
骨粗鬆症治療薬の合併症として顎骨壊死があります。
抜歯などの歯科治療の際には「骨粗鬆症治療中である」ことを伝えて下さい。
抜歯の際に骨粗鬆症治療薬を休薬しても顎骨壊死は減らないと言われており、一方で骨粗鬆症治療薬の休薬による骨折のリスクもあります。
そのため歯科治療の際に原則として休薬は不要です。
ただし、顎骨壊死のリスク(3年以上の治療期間やステロイド使用)に応じて歯科治療時の休薬の必要性を検討致します。
骨粗鬆症の治療はいつまで続けるのか?
- 骨密度が若年者の(YAM)80%を超えたとき
- 治療開始して骨折がなく5年経過した時
に薬物治療の一時中止を検討します。
しかし、中止後は骨量減少するため、注意して経過観察が必要です。骨粗鬆症治療は効果発現に1年以上かかります
十分な効果発現のために少なくとも3年以上の治療継続をお勧めします。