関節リウマチの早期診断は難しく、症状が「朝のこわばり」のみや、血液検査で特有の抗体(RFや抗CCP抗体)が陰性の場合もあります。
このような症状が軽度で診断が難しい場合に有効なのが、超音波検査(関節エコー)と(造影)MRI検査です。
目次
早期診断について
関節リウマチの診断においては
- 疼痛関節数
- 持続期間 6週間以上症状があるかどうか
- 血液検査
CRPや赤沈の上昇
RFや抗CCP抗体
と言った項目が用いられます。
超音波検査などがなかった時代は、関節の腫脹やレントゲンの所見、その他採血結果からだけで関節リウマチと診断して治療をしていました。
しかし早期の関節リウマチの場合はこれらの所見がはっきりとせず、症状も乏しいため診断に悩むことがあります。
そのような場合に超音波検査や造影MRIを使用して滑膜炎の所見の有無を確認することで関節リウマチの診断を行うことが可能です。
これにより、医師だけでなく患者にも視覚的にわかりやすい診断が可能となります。
超音波検査について
<メリット>
- 外来で簡便に確認可能である
- 経時的な変化を確認することが出来、治療効果判定を行うことが可能である
- レントゲンでは写らない骨の異常(びらん)を確認出来る
<デメリット>
- 微小な滑膜炎の検出力は力量による
超音波検査は、関節リウマチによる滑膜の炎症を直接確認できる画像検査です。
一方で、MRIは検査者の技術によらずに評価できる利点がありますが、撮像に時間と費用がかかります。レントゲンは炎症の状態を確認できず、骨や関節の破壊評価に用います。
超音波検査では、検査の描出能力は人によりますが、外来で簡便に確認することができ、診断や経時的な変化を見る事で治療効果判定に用いることが出来ます。
また超音波検査ではX線や採血では検出できない骨の異常や炎症を観察することが出来るため、関節リウマチか判断が難しい症例における早期診断に有用です。
超音波検査による治療効果判定
超音波検査では炎症を起こしている関節滑膜は健常な方と異なり、厚みがあり、関節液が貯留した状態となっていて、内部に異常な血流信号を観察することが出来ます。
また、屈筋腱といわれる手の平側にある腱の炎症も関節リウマチで起ることが有り、関節リウマチの診断に有用です。
これらの所見は治療が効果的であれば消失しますが、症状が改善しても滑膜炎が残存している場合は、再燃や関節破壊の進行リスクがあります。
実は痛みは腫れといった症状が消失して患者さんにとっては満足が得られているし、良かった!と思っていても、関節エコーで確認すると滑膜炎がまだ残存していることがあります。
定期的な超音波検査で治療効果を確認し、患者に合わせた治療薬の選択が可能です。
まとめ
超音波検査により、外来で簡便に目に見える形で関節リウマチの診断や治療効果判定が可能になりました。これにより、早期診断だけでなく、治療の効果判定や残存滑膜炎の確認も行えます。近年の関節リウマチ治療において、超音波検査は重要な役割を果たしています。