メトトレキサートは効果と副作用のバランスがよく、リウマチ診療におけるキードラッグとして活躍している薬剤になります。
メトトレキサートを使用した関節リウマチ診療におけるガイドラインが更新されました。
今回は2023年版と2016年版での違いについて説明致します。
2016年と2023年版のガイドラインの違いについて
>>2023年版診療ガイドラインの簡易版はコチラ で見ることが可能です
MTXガイドライン変更点2016→2023年
- 葉酸併用について:適宜→併用の元でMTX導入
- 副作用危険因子有の場合:2-4mg/週で開始→4-6mg/週で開始推奨
- 効果不十分の場合:16mg/週まで漸増だったが、今回より15-16mg/週と記載
(メトジェクト皮下注射の場合15mg/週) - MTXをアンカードラッグとした併用療法:トファシチニブ(ゼルヤンツ)と記載→2023年版ではJAK阻害薬に記載変更
- RA予後不良因子についての項目が無くなり、メトトレキサートを広く第一選択とする流れ
その他の点としては
- 胸水・腹水を認める場合:投与禁忌→症状軽減などののために穿刺・廃液の必要がない程度であれば注意深く経過観察した上で、低容量よりMTX投与開始可能
- NASH/NAFLDの記載が明確となった
- MTX-LPDにおいてTNF阻害薬禁止の記載が削除となった
が変更点となっています。
今回、安全な使用のために、メトトレキサートには葉酸の併用が基本推奨されています。
また、胸水/腹水があった場合には全例禁忌となっていましたが、少量であれば注意して使用可能となりました。しかし、胸水・腹水にメトトレキサートが貯留して、毒性を来すことがあるため慎重な経過観察が必要です。
また、今回メトジェクト皮下注射についての文言も追加されました
まとめ
メトトレキサートは関節リウマチの治療における第一選択となっています。
今回2016のガイドラインから、より安全に、そして有効に使えるようにガイドラインが変更となりました。
葉酸を必ず使う点、そして高齢者においても広く第一選択として使っていく流れが特にポイントになっているかと思います。