骨折

ロコモティブシンドロームについて

医師

最近は外に出て運動していますか?

患者

外に出るのが億劫になって家の中だけの生活です。

医師

運動不足になると、筋力が弱って、骨も細くなってきます。
転倒して骨折すると大変ですので、今から予防していきましょう。

患者

何をすればいいですか?

医師

家の周りからで良いので外にでて歩いていきましょう。
家でも出来るトレーニングをお教え致します。
何度かリハビリに通って正しいトレーニング方法を学んで下さい。

目次

はじめに

この2年間、コロナウイルス感染症の影響で外出を控え、自宅で過ごす時間が増えている方が多く見受けられます。感染の収束が見えない中で、在宅勤務も増え、自宅での時間がさらに増えている状況です。

特に高齢者は外出を控える傾向が強く、一日中家で過ごす方も多いでしょう。

しかし、筋力が一度弱ると回復には時間がかかり、そのまま放置するとロコモティブシンドローム(ロコモ)になり、寝たきりになるリスクが高まります。

ロコモティブシンドロームとは

日本整形外科学会より引用

日本整形外科学会によると、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、運動不足による筋力低下、関節症や骨粗鬆症などにより歩行能力が衰え、介護や寝たきりのリスクが高い状態を指します。

ロコモ度テスト

ロコモかどうかを確認するために、以下のようなテストが推奨されています:

  • 片足もしくは両足で立ち上がる高さの測定
  • 大股で歩いた時の距離の測定
  • 運動に関する質問(25項目)
日本整形外科学会より引用

詳細なテスト内容は、日本整形外科学会のロコモ度テストを参照してください。

健康寿命と平均寿命

健康寿命は、自分で歩いたり買い物したり、お風呂やトイレに行ったりといった日常生活を自立して行える期間を意味します。平均寿命が延びつつある日本では、女性の平均寿命は約87歳、健康寿命は約80歳、男性の平均寿命は約81歳、健康寿命は約72歳とされています。健康寿命と平均寿命の間には約10年の乖離があり、この期間に介護が必要となる問題が生じます。

この高齢化社会において、介護する側は若者になるわけですから、高齢者が増え、若者が減っていけば、介護する側の人がいなくなり、いずれパンクします。すでにパンクしつつあります。

お互いに介護が必要かもしれない状態の高齢の夫婦同士が助け合いながら生活している事が多々あります。

これを解消いていくためには、この健康寿命と平均寿命の乖離を無くし、要介護にならないように先に手立てを打っていくことが今後の課題です。

ロコモの原因

ロコモの原因には、以下のような要素が含まれます:

  • 骨粗鬆症や骨折
  • 変形性関節症
  • 変形性脊椎症(腰痛)
  • 神経痛、しびれ、麻痺

このような骨、関節、腰、神経痛、筋力低下などの要素が絡み合って負荷をかけられなくなり、進行していきます。

日本の調査によると、変形性膝関節症は約2500万人、変形性腰椎症は約3800万人、骨粗鬆症は約1300万人が患っているとされています。特に大腿骨頸部骨折は運動能力の低下を引き起こし、認知症の悪化と相まって深刻な影響を及ぼします。

ロコモを予防して健康寿命を延ばすには?

健康寿命と平均寿命の乖離をなくすためには、早めの対策が重要です。急激な体調の悪化を防ぐために、年齢と健康寿命を理解し、早めに対策を取ることが大切です。

予防としては以下があります。

  • 日常の運動
  • 適度な食事
  • 疼痛緩和
  • 骨折予防

日常の運動

ご自身が出来る、好きな運動をして頂き、運動習慣を付けて頂くことが何よりも肝心です。運動習慣を付けておくと、自分が出来なくなってきたということが早めに察知することが出来ます。

外での運動はちょっと、という方は家で出来る簡単な運動から始めて見ましょう。自宅でできる運動として、以下のようなものがあります:

  • 片足立ち
  • スクワット
  • つま先立ち

こういった所から始めて行きましょう。

適度な食事と疼痛緩和

適度な食事を心がけ、痛みが出てきたら早めに受診して疼痛緩和を図ります。

骨折予防

55歳を超えてきた方は

  •  定期的な骨密度の測定
  •  骨粗鬆症と診断されれば、早めの骨粗鬆症治療

をお勧めします。

まとめ

コロナや病気をきっかけにロコモになるリスクがあります。予防が肝心であり、運動習慣をつけ、痛みがあれば早めに受診し、骨折予防に努めましょう。最近動きが悪くなってきたと感じる方は、一度整形外科にご相談ください。

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