骨粗鬆症

【骨粗鬆症】新規薬剤「オスタバロ」骨形成促進薬

骨粗鬆症治療薬のアバロパラチド酢酸塩(商品名:オスタバロ皮下注カートリッジ1.5mg)

が2022年8月31日に製造販売が承認されました。

高齢化社会の進展により骨粗鬆症による骨折が増加しており、治療への関心が高まっています。

目次

骨粗鬆症の骨折と治療の重要性

近年、高齢化社会によって骨粗鬆症による骨折が増えつつあり、骨粗鬆症に対する治療が着目を浴びています。

骨粗鬆症になると以下の4大脆弱性骨折が発生しやすくなります:

  • 大腿骨近位部骨折
  • 椎体骨折(圧迫骨折)
  • 上腕骨近位部骨折
  • 橈骨遠位端骨折

これらの骨折は身体機能の低下や寝たきりの原因となるため、早期治療が重要です。2022年の報酬改定により、大腿骨近位部骨折に対する二次性骨折予防継続管理料が新設され、骨粗鬆症治療への取り組みが強化されています。

骨折の危険性の高い骨粗鬆症

骨は骨形成と骨吸収のバランスで新陳代謝が行われますが、骨粗鬆症は骨強度(骨密度+骨質)が低下し、骨が脆弱になり軽微な外力で骨折を招く病気です。骨粗鬆症は骨強度(骨密度+骨質)が低下し、軽微な外力で骨折を招く病気です。

骨折の危険性が高い骨粗鬆症の基準は以下の通りです:

  • 骨密度:マイナス2.5SD以下(YAM≦70%)かつ1個以上の脆弱性骨折
  • 腰椎骨密度がマイナス3.3SD(YAM60%)未満
  • 椎体骨折の数が2個以上
  • 既存椎体骨折の半定量評価法結果がグレード3

「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」と言われる重症の骨粗鬆症に対して、骨折を来す前に速やかに強力な骨を構築することが必要不可欠です。

>>骨粗鬆症治療薬の種類についてはコチラを参照

骨折の危険性の高い骨粗鬆症に推奨される薬剤

骨折の危険性の高い骨粗鬆症に推奨される薬剤

1 テリパラチド(商品名:フォルテオ・テリボン)

2 ロモソズマブ(商品名:イベニティ)

3 アバロパラチド酢酸塩(商品名:オスタバロ)

「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」に対して推奨される薬剤としては骨形成促進薬であるテリパラチド(商品名:フォルテオ・テリボン)、2019年に発売となったロモソズマブ(商品名:イベニティ)がありました。

ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH製剤)と言われるテリパラチドは骨形成細胞が活性化されて骨新生を促すことから、強力な骨を作る薬剤として有効な薬剤です。

そして今回、そのテリパラチドと似たhPTH製剤であるアバロパラチド酢酸塩(商品名:オスタバロ皮下注カートリッジ1.5mg)が新規発売となりました。

オスタバロの作用と効果について

アバロパラチド酢酸塩(商品名:オスタバロ)はヒト副甲状腺ホルモン関連ペプチド(hPTHrP)の誘導体で、骨形成を促進し、骨形成促進され、骨吸収よりも骨形成が上回ることによって骨量が増加します。

腰椎と大腿骨近位部の骨密度を上昇させる

海外ですでに治療薬の有効性が確認されていますが、日本国内における第3相試験(ACTIVE試験)でのオスタバロの治療効果について以下に一部紹介します。

腰椎の骨密度を十分に上昇させ、骨折の発生率も有意に減少させます

どの薬剤においても腰椎の骨密度が上がっても、大腿骨近位部骨密度は中々上昇しにくく悩まされますが、オスタバロは大腿骨近位部の骨密度を上げてくれます。また、既存の薬剤であるテリパラチドと比較しても上昇率が高いと示されています。

これがオスタバロの一番の特徴といっていいかもしれません。

オスタバロの副作用と禁忌

主な副作用は悪心、めまい、動悸、高カルシウム血症/尿症などですが、第3相試験では重篤な副作用は認められていません。投与後30分程度は安静にすることが推奨されます。禁忌事項は以下の通りです:

禁忌

 高カルシウム血症

 骨肉腫のリスクのある患者

 転移性骨腫瘍

 代謝性骨疾患(副甲状腺機能亢進症など)

 妊娠

 オスタバロに対するアレルギー反応

オスタバロの薬価・使用方法

薬価・使用方法

薬価:カートリッジ1本 16,128円 14日分

投与方法:1日1回 80μgを皮下注射(自己注射) オートインジェクターあり

使用可能期間:18ヶ月(1.5年)

保存方法:冷蔵保存

になります。

費用としては、1ヶ月あたり2本使用することになるため薬剤の値段として3割負担で約9670円になります。1割負担で約3200円になります。

オートインジェクターがあり、自己注射がしやすくなっています。

オートインジェクターの機械で投与履歴や投与回数が把握出来、カートリッジの交換のお知らせを表示してくれます。この機械は、投与履歴や回数を確認することで、本人だけでなく、家族や医師側が注射出来ているか確認することが出来る点が良いですね。

また、使用可能期間としてはテリパラチドは2年間ですが、オスタバロは1.5年という点で異なります。

アバロパラチドの投与期間については、ラットを用いたがん原性試験において骨腫瘍性病変が認められているため、18か月が適正とされています。

オスタバロとフォルテオの違い

オスタバロとフォルテオは同じPTH製剤になっていてかなり類似していますが、オスタバロがフォルテオと異なる点としては以下になります。

  • オスタバロの方が大腿骨近位部の骨密度を上昇させる
  • 最大投与期間が18ヶ月(フォルテオは24ヶ月)
  • 注射デバイスがあり、自己注射がしやすく、投与の有無を管理出来る
  • 後発品はない

まとめ

オスタバロは、骨折リスクの高い重症の骨粗鬆症に対して早期に骨密度を上昇させる効果が期待される新薬です。毎日皮下注射という点で懸念もありますが、機器の充実により操作しやすくなっています。今後の骨粗鬆症治療における重要な選択肢となるでしょう。

参考文献

帝人ファーマ オスタバロ説明サイト

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