リウマチ 炎症性疾患

【関節リウマチ】治療薬と費用について説明します

患者

関節リウマチの治療はいつまで続きますか?

医師

寛解の状態に持っていければお薬を中止ことが出来るかもしれません。
ただし再燃することがあり、何かしら継続していく事が多いです。

患者

治療の費用はどのくらいかかりますか?

医師

メトトレキサートや免疫調整薬と言われるお薬は安価です。
生物学的製剤による治療が必要な場合は高額になります。
高額医療制度などの社会保障を利用すると負担を軽減することが出来ます。

関節リウマチは高額医療制度が適用されますが、特別な負担上限はありません。

若い方は通常の3割負担が適用され、一度発症すると治療は生涯続けることが一般的です。ここでは、治療薬と費用について説明します。

目次

はじめに

近年、関節リウマチの治療には生物学的製剤が使用されるようになり、治療の幅が広がりました。

メトトレキサートが一番に検討される薬剤ですが、効果不十分や合併症が使えない場合などに生物学的製剤を検討することがあります。

生物学的製剤は、関節炎や骨破壊に関連する分子の働きを抑えることで、関節の痛みや腫れを軽減し、将来の関節変形を防ぎます。JAK阻害薬というものも近年出てきています。

最も古いレミケードは2002年に日本で承認され、今も使用されています。新しい種類の薬も次々に登場し、選択肢が広がっていますが、これらの薬は高価で、特に若い患者の家計に大きな負担をかけます。

バイオシミラーとは

バイオシミラー(後発品)は、先発品と同等の効果と安全性が示されており、値段が半額ほどになります。TNF-α阻害薬にはインフリキシマブBS、エタネルセプトBS、アダリムマブBSなどがあります。

後発品といっても、先発品と同等の効果、安全性が示されている薬剤で先発品と比較して安価です。

生物学的製剤の費用負担は?

一覧表を載せます。

薬価については厚生労働省ホームページを参照しています。自己負担額については1ヶ月単位で記載しています。

レミケードインフリキシマブBSエンブレルエタネルセプトBSヒュミラアダリムマブBSシンポニーシムジア
投与方法点滴2時間点滴2時間皮下注射皮下注射皮下注射皮下注射皮下注射皮下注射
投与頻度1回/8週1回/8週1回/2週1回/2週1回/2週1回/2週1回/4週1回/2週
自己負担額3割2.9万1.3万2.6万1.7万3.3万2.0万3.4万3.5万
1割1.0万0.4万0.9万0.6万1.1万0.7万1.1万1.2万
TNFα阻害薬
アクテムラアクテムラケブザラオレンシアオレンシア
投与方法点滴皮下注射皮下注射点滴皮下注射
投与頻度1回/4週1回/2週1回/2週1回/4週1回/週
自己負担額3割1.7万1.9万2.9万3.3万3.4万
1割0.6万0.6万1.0万1.1万1.1万
IL-6阻害薬、T細胞選択的共刺激調節剤
ゼルヤンツオルミエントスマイラフリンヴォックジセレカ
投与方法5mg×2回4㎎×1回150㎎×1回15㎎×1回200㎎×1回
3割4.6万4.7万4.3万4.6万4.4万
1割1.6万1.6万1.4万1.5万1.5万
JAK阻害薬

生物学的製剤では点滴、皮下注射の2通りの投与方法があります。皮下注射も最初は怖いかと思うのですが、キットもよく出来ていますので慣れれば誰でも行えるようになっています。もちろん自身での皮下注射を始める際には注射のやり方の指導を行います。

JAK阻害薬については生物学的製剤とは別枠になりますが、こちらも関節リウマチの治療として使われるものとして高額なものになるので挙げさせて頂きました。JAK阻害薬は飲み薬になります。

メトトレキサートの費用について

一方でメトトレキサートは現在後発品であれば2mg 1錠 68円です。

1週間で最大量の16㎎を使用した場合は1か月で3割負担で約650円、1割負担で約220円と非常に安価です。

先発品でも2㎎ 1錠165円になりますので、1週間16㎎の場合は1か月あたり3割負担で約約1580円、1割負担で約530円です。

メトトレキサートは関節リウマチの治療薬の初期に一番に検討する薬剤ですが、効果が不十分な場合や合併症で使えない場合は、生物学的製剤など高額な薬剤に頼らざるを得ないことがあります。

もちろん高額になってくるため、患者さんの痛みの苦痛度合とお金の事情とのご相談となります。

しかし、関節リウマチの治療が不十分となって、その後関節破壊が進んで生活がままならない状態になっては元も子もありません。

関節リウマチの治療は非常に長いお付き合いになりますので、我々は患者さんと費用面も含め、相談しながら治療を行っていきます。

まとめ

関節リウマチの治療は生涯にわたり続くことが多く、治療費用は重要な問題です。

生物学的製剤の普及により、治療の選択肢が広がり、効果的な治療が可能になっています。しかし、費用負担も大きいため、患者さんと医師が協力して、適切な治療を選択することが重要です。

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