リウマチ 炎症性疾患

【関節リウマチ】リウマチ検査が陽性≠関節リウマチです。関節リウマチの診断について

目次

はじめに

NG例

患者

指が痛いです

医師

リウマトイド陰性が陽性なので関節リウマチです。

すぐにメトトレキサートによる治療を始めましょう

患者

(1ヶ月後)痛みが全然良くなりません。

医師

最近強力ないいお薬があるので使ってみましょう

患者

(1ヶ月後)痛みは全く良くなりません

関節痛の原因

関節が痛い≠関節リウマチでは

関節リウマチを血液検査のみで診断することはありません!

関節痛を引き起こす疾患は、整形外科疾患や他の膠原病、感染症など多岐にわたります。

例えば、指の変形や痛みはヘバーデン結節や腱鞘炎、五十肩、偽痛風・痛風などが原因であることが多いです。

今回はその中でも関節リウマチの診断にかかわる所見・血液検査について説明致します。

関節痛は関節リウマチ以外がほとんど

関節痛を来す多くの疾患は整形外科疾患です。そのため関節リウマチ患者さんが医療機関を初めて受診する際には身近な整形外科にかかられることが多いかと思います。

関節痛で多いのは整形外科的な疾患です。しかし、その他の病気も可能性もあるため注意が必要です。そのため、リウマチ学会が提唱している鑑別リストとして以下があります。

リウマチ学会 疾患別鑑別難易度

単関節痛か多関節痛か

関節リウマチを正確に診断するためには、以下の点を考慮する必要があります:

  • 単関節痛: 一カ所だけの関節痛は整形外科疾患(化膿性関節炎、痛風、変形性関節症など)が多いです。
  • 多関節痛: 複数の関節に痛みがある場合は、関節リウマチ、ウイルス性関節炎、リウマチ性多発筋痛症など全身性疾患の可能性があります。

ここからは、どのようにして関節リウマチと診断するのか説明します。

関節リウマチに関わる血液検査

関節リウマチの診断には、以下の血液検査が用いられます:

関節リウマチに関する血液検査
  • リウマトイド因子(Rheumatoid Factor=RF リウマトイドファクター)
  • 抗CCP抗体
  • MMP-3
  • CRP

がしばしば用いられます。

しかし、これらの検査結果が陽性であっても、関節リウマチと診断されるわけではありません。

例えば、リウマトイド因子は健常人でも5%程度が陽性になりますし、他の膠原病でも上昇することがあります。

一方で、抗CCP抗体が陽性の場合は、関節リウマチの可能性が高くなります。その結果によって判断していきます。

MMP-3は関節リウマチで陽性となることが多いのですが、早期の関節リウマチでは陽性になりくく、時間が経つにつれて陽性になります。変形性膝関節症の炎症期でも陽性となりますし、ステロイドの使用中は上昇します。

CRPは関節リウマチでも症状の場所によっては陰性とでます。指などの小関節だけではCRPは上がらないことがあります。そのためCRPが上がっていないから関節リウマチではないとは言えません。

血液検査はあくまで1つの指標であって、症状・身体所見によってその他の追加検査を行っていきます。

>>リウマトイド因子と抗CCP抗体について詳細はコチラ

関節リウマチの診断基準

関節リウマチの診断には2010年ACR/EULAR新分類基準と言われるものが使われています。

関節リウマチ学会より

「各要素で点数付けを行い、6点以上だったら関節リウマチと診断しましょう」というものです。

診断には関節症状があることが関節リウマチに必須です。ただし、6点未満でも否定は出来ません。

血液検査が陰性だったら安心?

「関節リウマチの数値が陰性だから、関節リウマチではありません」

これは間違いです。

関節リウマチの診断が難しい理由の一つに、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体が陰性であるセロネガティブRA(seronegative RA)があります。これらの抗体が陰性であっても、関節リウマチであることがあります。

特に高齢者に発症する関節リウマチでは、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性であることが多いと言われています。このため、関節リウマチの診断がさらに難しくなります。

セロネガティブRAは、リウマチ性多発筋痛症(PMR)など他の疾患と症状が似ているため、鑑別が非常に困難です。そのため次の検査を行って診断を行います。

早期診断のための追加検査

関節リウマチはレントゲンや採血では診断が難しいことがありますが、その際には以下の検査が有効です

  • 関節エコー: 滑膜肥厚や血流異常を確認します。
  • MRI検査: 早期の滑膜炎や骨病変を確認します。

関節エコーで滑膜肥厚、血流異常があったり、MRIで早期の滑膜炎・骨病変を確認することで早期の診断が出来ることがあります。こういった検査によって関節破壊が起る前に治療を行う事が可能になりつつあります。

特にエコーが最近は浸透しつつあります。エコーは術者の技術にもよる検査ではありますが、非常に簡便で、安価に外来で行う事が出来ます。患者さんと一緒に画面を見る事が出来るので、患者さんと診断のみならず、治療の経過に関して共通の認識を得ることが出来ます。

>>超音波検査(関節エコー)による早期診断ついて詳細はコチラ

>>MRIによる早期診断について詳細はコチラ

まとめ

関節リウマチの診断においては、特に早期においては診断に悩むことがあります。手の痛みや多関節の痛みについては関節リウマチ以外の整形疾患の事が多々ありますので、それを念頭に置きながら経過を見ていく必要があります。

関節痛の症状がある場合は整形外科的疾患の事が多いためリウマチも診れる整形外科にまずかかられることをお勧め致します。

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