治療

傷口の処置についての分かりやすい解説

人生で怪我をしたことがないという人は少ないでしょう。スポーツをしない人でも、日常生活で怪我をすることはよくあります。怪我をした直後にクリニックに受診するのが理想ですが、すぐに受診できないこともあります。そのため、時間が経ってから受診した際に間違った処置をしている方が見受けられます。

正しい処置を行うことで、傷の治癒を早め、感染を防ぐことができます。以下に、日常での傷口の正しい処置方法を解説します。

目次

1. 毎日傷を洗うことの重要性

昔は「傷は洗ってはいけないもの」「消毒が毎日必要」と言われていましたが、これは創傷治癒について十分に理解されていなかった時代の話です。

最近では、毎日水でよく洗うことが非常に重要とされています。水道水で洗うと雑菌が入るのではないかと心配されることがありますが、実際は逆です。水で洗わないと浸出液(傷口から出る体液)などが溜まり、菌が繁殖しやすくなります。古い浸出液を水で洗い流すことで、二次的な感染(化膿)のリスクを減らせます。毎日必ずよく洗って、傷を清潔に保ちましょう。指で軽く擦るように洗うのが一般的ですが、怖い場合は綿棒やシャワーの水圧を利用して洗ってください。石鹸は必ずしも必要ではありませんが、よく泡立てたものを使用すれば清潔を維持しやすいです。ただし、傷口に石鹸が残らないようにしっかり洗い流してください。

2. 毎日消毒した方がいいの?

昔ながらの方法で、イソジンやリバガーゼで毎日消毒する方がいますが、毎日消毒は良くない対処法です。必要に応じて消毒が必要な場合もありますが、消毒液には組織を破壊する成分が含まれていることが多く、傷口に直接塗ると治りにくくなることが多いです。また、消毒自体が刺激性を持つため、漫然と使い続けると接触性皮膚炎(かぶれ)を起こすこともあります。基本的には水での洗浄が大切です。

3. 塗り薬(保湿と保護)の使用方法

創傷治癒の観点から、傷は適度な湿潤環境がもっとも治りやすいことが分かってきました。洗浄後に水分を拭き取ったあと、そのままだと傷は乾燥しがちです。適度な湿潤環境を保つために保湿剤や軟膏を使用し、ガーゼなどで保護します。塗り薬は補助的なものであり、適切な使用が重要です。

>>湿潤療法についてはコチラ

4. 家での処置のまとめ

基本的なステップ

  1. 手洗い: 処置前に手をよく洗い、清潔な環境を保つ。
  2. 傷の洗浄: 毎日水で傷をよく洗い、汚れや浸出液を除去。
  3. 消毒の判断: 必要な場合のみで、基本的に消毒は避ける。
  4. 保護: 傷が乾燥しないように保湿剤を塗り、ガーゼで保護。

これらの手順を守ることで、日常の怪我の処置がより効果的になり、感染や治癒の遅れを防ぐことができます。急な怪我でも正しい知識を持って対応できるようにしましょう。

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