生物学的製剤の注射が怖いです。
内服薬はありませんか?
タクロリムスというお薬もあります。生物学的製剤と比較しては安価ですが効果は強いものになります。
血中濃度が高くなると副作用が出やすくなるので、血中濃度を確認します。
どのような副作用が出ることがありますか?
高血糖、高血圧、腎障害などが代表的です。
そのような症状が出てくるようであれば薬剤を中止します。
関節リウマチに対して使用される薬剤の一つとしてタクロリムス(商品名:プログラフ)があります。
今回は、このタクロリムスの特徴と適応について詳しく説明します。
目次
タクロリムスの特徴について
タクロリムスは、T細胞を抑制するカルシニューリン阻害薬として分類される強力な免疫抑制薬です。
タクロリムスは1984年に日本で発見され、もともとは臓器移植や自己免疫疾患の治療に使用されてきました。関節リウマチに対する有効性が確認され、2005年に関節リウマチへの保険適応が承認されました。また、重症筋無力症やループス腎炎にも適応が拡大されています。
使用方法
- 内服: 1日1回、最大3mg/日まで
- 通常の投与量: 1-1.5mg/日と少量で、メトトレキサートなどと併用することがあります
- 形状: 錠剤、カプセル
- 値段:後発品があり、やや高価であるが、生物学的製剤よりは安価
血中濃度測定
タクロリムスは血中濃度を測定可能であり、夕方に内服して朝に測定します。血中濃度が20ng/ml以上となると副作用が発現しやすいため、高値の場合は減量が必要です。
タクロリムスの良い適応について
タクロリムスは、以下のような患者に対して特に適しています:
- 生物学的製剤の注射や費用面で困難を感じる患者: タクロリムスは内服薬であり、生物学的製剤よりも安価であるため、費用面や注射の手間が気になる方にも適しています。
- 間質性肺炎がある患者: メトトレキサートは間質性肺炎がある場合には使用が難しいですが、注意は必要ではあるもののタクロリムスは使用可能です。
- 腎機能障害がある患者: タクロリムスは軽度の腎機能障害があっても使用が可能です。
高活動性で間質性肺炎があり、軽度の腎障害で感染症がなく、内服薬を希望する高齢者には特に適しています。
タクロリムスの使用上の注意
薬物相互作用
タクロリムスはCYP3A4によって代謝されるため、同じCYP3A4代謝の薬剤との併用には注意が必要です。例えば、クラリスロマイシンなどの抗生剤は相互作用によりタクロリムスの副作用が出やすくなることがあります。グレープフルーツも同様に注意が必要です。
たとえばクラリスロマイシンという抗生剤がありますが、相互作用によってタクロリムスの副作用が出やすくなることがあります。
副作用
タクロリムスの主な副作用には以下があります:
- 手の震え
- 高血圧
- 高血糖
- 腎機能障害
- 心毒性
- 感染症
副作用が出てきた場合には投与の減量か中止、また相互作用のある薬剤の中止などで対処します。
基本的には副作用は回復します。
まとめ
タクロリムスは、間質性肺炎のある患者でも使用しやすく、血中濃度の管理が可能な免疫抑制薬です。生物学的製剤よりも安価で内服可能な点が利点です。副作用に注意しながら適切に使用することで、関節リウマチの治療に有効です。