手根管症候群は、手指や手首の屈曲を担う正中神経が、手首の中央部にある狭いトンネル状の手根管で圧迫されることで、しびれや痛みが生じる病気です。
手根管には正中神経と、指を曲げる9本の腱が通っています。
目次
手根管症候群の症状
手根管症候群の症状
感覚異常:指先の感覚が鈍くなり、細かい作業が難しくなります。また、親指と人差し指で「OKサイン」を作るのが難しくなります。親指から薬指にかけてのしびれや痛みが生じます。薬指の親指側はしびれるが、小指側はしびれないという点が特徴です。
筋力低下:症状が進行すると、親指の付け根の筋肉(母趾球筋)がやせ、物をつかんだり、ボタンかけのような細かい作業が困難になります。
手根管症候群の原因とリスク要因
- 一般的なリスク要因:50歳以上の女性に多く見られ、特に閉経期、糖尿病、関節リウマチ、血液透析、甲状腺機能低下症の方に多いです。また、手を多用する重労働も関係があります。
- 外傷:上腕骨顆上骨折や橈骨遠位端骨折などが契機となることがあります。
手根管症候群の診断
- 症状誘発テスト:
・ティネルサイン:手首の中心をたたくと、しびれや痛みが指先にひびきます。
・ファレンテスト:手首を手のひら側に曲げてしばらくすると症状が悪化します。 - 超音波検査:腱鞘滑膜炎の所見・手根管内の腫瘤を認める場合があります。
- 神経伝導検査:電気刺激により神経機能を測定し、神経障害の程度・病変の場所を評価します。
- MRI:超音波検査で腫瘤が疑われる場合に実施し、手根管内の病変を確認します。
また、母指と人差し指できれいな「OKサイン」が作れない、薬指の指先の中指側と小指側とで感覚が異なるといった点が特徴です。
手根管症候群の治療法
保存療法:
- 飲み薬:神経再生を促すビタミンB12、しびれや痛みの緩和のためのプレガバリンやミロガバリン。
- 手首の装具固定:手首を固定して炎症を緩和。
- ステロイド注射:手首へのステロイド注射で炎症を抑えます。
手術
保存療法が効果がない場合や、症状が重い場合には手術が必要です。
- 直視下法:手のひらを2~3cm切開して手根管を開放。
- 鏡視下法:内視鏡を使って手根管を開放。
まとめ
手根管症候群は、手のしびれや痛み、細かな動作の困難を引き起こします。早期の診断と治療が重要で、進行を防ぐために症状がある場合は早めに医師に相談することをお勧めします。