上肢

【外側上顆炎(テニス肘)】ドアを開ける時、物を持つときにに肘が痛い

肘の痛みの一つに外側上顆炎があります。

「上腕骨外側上顆炎」は肘の外側に痛みが現れます。スポーツの中で「テニス肘」と呼ばれています。これはテニスプレーヤーの3~5割の人が経験するとも言われていることから来ています。

しかし、スポーツをしていない方でもしばしば起こり、テニス肘の総患者数は推定18,000人と言われています1)

軽傷の場合は安静にしていれば自然に軽快しますが、日常生活においてなかなか手を安静に保つことが難しいのが現状です。様子を見ている内に症状が悪化し、難治化することもありますので、早期の診断・治療が必要です。

今回は上腕骨外側上顆炎の症状、診断、治療について説明致します。

目次

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の症状

  • ものを持ち上げる
  • ドアを開ける
  • タオルや雑巾を絞る

といった動作で肘の外側に痛みが生じる場合は上腕骨外側上顆炎の可能性があります。

痛みが強くなると、コップを持ち上げるだけでも痛みが生じ日常生活に支障を来します。

また逆に安静にしている時にはあまり痛み無いという特徴があります。

上腕骨外側上顆炎の原因

肘に外側にある外側上顆という場所には短橈側手根伸筋(ECRB)という筋肉の腱が付着しています。これは手首を伸ばす筋肉の1つで、この筋肉は肘の外側から手の背側にかけて繋がっています。

物を持ち上げたり、手を捻ったりする動作を繰り返していく内に、繰り返しの刺激によってこの筋肉の付着部である腱に微小なストレスが与えられ、その結果修復が追いつかずに変性し、炎症が起り、痛みが生じます。

なりやすい人

患者さんの多くは30~50歳代です。

やや家庭の主婦など女性に多い傾向があります。

週3回以上テニスをしていると発症しやすいと言われています。

ただ、テニス肘というからテニスをしている方が大抵かと思いきや、そうではありません。テニスが原因に人は全体の10%くらいと言われています。

テニスをしていない人が大半です。

検査/診断

検査としては

  • 病歴・身体所見
  • レントゲン
  • MRI

によって診断を行います。

先ほど話したように、特定の動作で痛みが出るというのが有用な情報になります。

追加として以下のような痛みを誘発する試験を使用します。

Thomsen test

肘を伸ばした状態で手首を手の甲側に持ち上げるように力を入れたときに医師が逆らうように力を加えるテスト

Chair test

椅子を持ち上げた時に肘の外側に痛みが出る

中指伸展テスト

手を広げた患者の中指を下に向かって押して、患者がそれに逆らうように中指を持ち上げたときに肘の外側に痛みが出る

レントゲン検査

レントゲン検査では肘関節のレントゲン撮影を行います。

短橈側手根伸筋が付いている外側上顆にもやもやとした石灰化が見えることがあります。

MRI検査

MRI検査では障害が起っている部分が白く映り、障害の部分・状態がはっきりと分かります。

治療方法

治療の基本は保存的加療といって、手術以外の方法になります。難治性の場合には手術を行うことがあります。

保存的加療の方法としては

  • 短橈側手根伸筋のストレッチ
  • サポーター
  • 内服・湿布
  • ステロイド注射

などがあります。

短橈側手根伸筋のストレッチとしては肘を伸ばした状態で手首を手のひら側にぐぐぐっと曲げていきます。

また、早期の場合には冷やして頂いた方が炎症を抑える効果があります。いわゆる慢性期になってきた場合には温めてあげる方が痛みを和らげる効果があります。

慢性期には手首の屈筋・伸筋のそれぞれを鍛えることも効果的です。ただし、痛みが出るほど無理はしないように注意して下さい。

サポーターとしてはエルボーバンドというものがあります。市販にもあります。

mindsガイドラインより

 ちょうど筋肉を抑えるようにバンドを装着することで、腱が引っ張られにくくするこうかがあり有効な事があります。

お薬としては、NSAIDs(ロキソニンなど)や湿布を用います。NSAIDsを使用する場合は胃潰瘍などの副作用が出ることがあるので、漫然とは使用しないよう注意下さい。湿布は比較的胃潰瘍などの副作用が少ないものになります。

注射

発症から早期の6週間くらいの短期間では効果があると言われています。

ただし、発症してから3ヶ月以上経過しているような慢性的な痛みの方には効果が少ないと言われていますので、理学療法が有効です。

まとめ

外側上顆炎では肘の外側に痛みが生じ、日常に支障を来すことがあります。慢性化する前に、治療を行うことが大切です。

整形外科では、実際のリハビリや注射などで改善の手助けをさせて頂きます。一度整形外科専門医を受診してみませんか。

是非、一度ご相談下さい。

参考文献

1 厚生労働省 平成26年度患者調査(傷病分類編)

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