肘に痛みを感じたことはありませんか?
それが、スポーツをしている人だけでなく、普段の生活でも多くの人が悩まされる「外側上顆炎(テニス肘)」かもしれません。
一般には「テニス肘」として知られていますが、実はテニスをしていない方でも発症することがあり、その総患者数は推定18,000人にも上ります1)。
早期の診断と治療が必要なこの疾患について、詳しく解説していきます。
興味深い情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください
目次
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の症状
- 動作による痛み: ものを持ち上げる、ドアを開ける、タオルを絞るなどの動作で肘の外側に痛みが生じます。
- 痛みの特徴: 痛みが強くなると、コップを持つだけでも痛みが生じますが、安静にしている時は痛みが少ないです。
上腕骨外側上顆炎の原因
肘に外側にある外側上顆という場所には短橈側手根伸筋(ECRB)という筋肉の腱が付着しています。
肘の外側にある短橈側手根伸筋(ECRB)の腱に微小なストレスが繰り返しかかることで発生します。
外側上顆炎は、肘の外側にある短橈側手根伸筋(ECRB)の腱に微小なストレスが繰り返しかかることで発生します。この繰り返しの刺激が腱の変性と炎症を引き起こし、痛みを伴います。
なりやすい人
- 年齢層: 30~50歳代に多く発生
- 性別: 家庭の主婦など、女性に多い傾向
- スポーツ習慣: 週3回以上テニスをする人に発生しやすいが、それは全体の10%程度でテニスをしていない人が大半です。
検査/診断
- 病歴と身体所見: 特定の動作で痛みが出るかを確認します。
- 画像診断: レントゲンやMRIで肘関節の状態を確認します。
1. レントゲン検査
レントゲン検査では肘関節のレントゲン撮影を行います
短橈側手根伸筋が付いている外側上顆にもやもやとした石灰化が見えることがあります。
2. MRI検査
MRI検査では障害が起っている部分が白く映り、障害の部分・状態がはっきりと分かります。 - 痛み誘発試験:
- Thomsen test: 手首を甲側に持ち上げる力を加える
- Chair test: 椅子を持ち上げた時に肘の外側に痛みが出る
- 中指伸展テスト: 中指を下に押して逆らうように持ち上げた際に肘の外側に痛みが出る
Thomsen test
Chair test
中指伸展テスト
治療方法
保存療法
- ストレッチ: 短橈側手根伸筋を伸ばす
- サポーター: エルボーバンドを使用
- 薬物療法: NSAIDsや湿布
- ステロイド注射: 早期の短期間に効果的
- 理学療法: 手首の屈筋・伸筋を鍛える
- 物理療法: 炎症の初期には冷却、慢性期には温熱治療を行います
ストレッチ
短橈側手根伸筋のストレッチとしては肘を伸ばした状態で手首を手のひら側にぐぐぐっと曲げていきます。
また、早期の場合には冷やして頂いた方が炎症を抑える効果があります。いわゆる慢性期になってきた場合には温めてあげる方が痛みを和らげる効果があります。
サポーター
エルボーバンドというものがあります
ちょうど筋肉を抑えるようにバンドを装着することで、腱が引っ張られにくくする効果があります。
内服薬
NSAIDs(ロキソニンなど)や湿布を適宜併用することがあります。
注射
発症から早期の6週間くらいの短期間では効果があると言われています。
ただし、発症してから3ヶ月以上経過しているような慢性的な痛みの方には効果が少ないと言われていますので、リハビリが有効です。
まとめ
外側上顆炎(テニス肘)は、肘の外側に痛みが生じ、日常生活に支障を来すことがあります。
早期診断と治療が重要で、整形外科でのリハビリや注射が効果的です。症状がある方は、一度整形外科専門医を受診してみてください。
是非、ご相談ください。