リウマチ 炎症性疾患

【関節リウマチと費用負担】社会保障制度を中心に説明します

目次

はじめに

日本には国民が安心して安定した生活が営めるように、生活や健康を保護する社会保障制度があります。

近年の関節リウマチの治療は生物学的製剤の登場によって飛躍的に向上していますが、その反面、患者さんの経済的な負担が増えることになります。

現在の医療費の自己負担については

75歳以上 1割

70-74歳 2割

70歳未満 3割

諸条件によってことなりますが、上記の様になっています。

生物学的製剤を使用する場合はお薬だけで1月15万程度することがあります。

実際には自己負担はその内の負担割合分のみになります。この場合は3割負担の場合は1月分のお薬代だけで4.5万円もかかることになります。

そのため、関節リウマチ患者さんにおいては特に社会保障制度を利用して頂くことをお勧め致します。

高額医療費制度

1ヶ月の医療費負担が自己負担限度額を超えた場合には、超えた分の払い戻しを受けることが出来ます。

利用するためには事前に保険者(保険証の発行元)へ手続きを行い「限度額適用認定証」などの交付を受け、医療機関に提示することが必要です。

所得や年齢に応じて設定されていますので、ご自身の限度額については保険者にご確認下さい。

同一月の複数の病院の支払いは合算可能ではありますが、70歳未満の場合は1件21000円以上である必要があったりと諸条件がありますので、ご注意ください。

年に3回以上自己負担限度額を超えると4回目以降の限度額が44000円が上限となります。

以下もご参照下さい。

全国健康保険協会 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/

難病医療費助成制度(難病法)

平成26年5月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」が公布されて、平成27年1月1日から新たな難病医療費助成制度が始まりました。

令和元年の段階で333疾病が指定難病に指定されています。指定難病に認定された場合には「難病医療費助成制度」による助成を受けることができ、自己負担割合は2割で、月額の自己負担は所得に応じた限度額までとなります。

残念ながら、関節リウマチはこの難病医療費助成制度の対象外です。

リウマチ性疾患としては

  • 成人型スティル病
  • シェーグレン症候群
  • 強直性脊椎炎

などは指定難病に登録されています。

難病指定を行うためには「難病指定医」もしくは「指定難病指定医」による診断書が必要となります。

以下もご参照下さい。

難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460

介護保険

2000年4月にスタートした介護費用を介護保険料と公費で負担する制度です。

通常は65歳以上で利用出来る制度ですが、特定疾病に該当する場合には40歳以上から利用可能です。

整形外科関連でいいますと

  • 関節リウマチ
  • 骨折に伴う骨粗鬆症
  • 変形性関節症(両側の膝関節または股関節の著しい変形を伴う)

といった疾患が特定疾病です。

その他の特定疾病の範囲については以下の厚生労働省のサイトをご覧下さい。

https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html

認定された支援・介護度に応じて在宅・施設サービスを受けることが出来ます。

在宅における介護サービスでは

  • 福祉用具の貸与や購入費の支給
  • 住宅改修費の支給
  • 訪問介護
  • 訪問・通所リハビリテーション

などのサービスがあります。介護保険については認定に時間がかかります。

関節リウマチにかかわらず、高齢者の患者さんで介護認定を受けられていない方が多数おられますが、何かあった際にはすぐにサービスを受けることが出来ません。

窓口は市区町村役場になりますので、早めにご相談することをお勧め致します。

以下もご参照下さい。

https://kaigo.homes.co.jp/manual/insurance/about/

身体障害者手帳

障害者手帳とは障害のある方を対象に交付される手帳の事です。 障害者手帳を持つことでさまざまな福祉サービスを利用することが出来る事があります。

身体障害者については1級から6級までの区分があり、受けられるサービスが異なります。

また、リハビリや手術によって障害が軽くなることも多々ありますので、その場合には等級の再認定を受ける必要があります。

身体障害者の診断については申請したからといって必ずしも該当する訳ではありません。

我々整形外科においては病状に応じて肢体不自由に関する身体障害者診断を行わせて頂いております。

等級に応じて具体的なサービス内容については市町村にお問い合わせください。

まとめ

関節リウマチに関わらず医療費かかる治療を受けられる事があるかと思います。

医療費控除や医療サービスを受けるための申請には時間がかかります。

事前に申請して準備して頂くことをお勧め致します。

関節リウマチは生物学製剤によって飛躍的に治療が向上しましたが、長く治療が必要になる病気です。長いお付き合いをしていくためにはお金と向き合っていく必要があります。

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