近年、スマートフォンなどの影響で首が下がるような姿勢を取る方が増えており、首や肩の痛みを訴える人が増加しています。特に日本では、肩こりは女性の第1位、男性の第2位の症状として挙げられています。肩こりによって労働が十分にできないことによる社会的な損失も問題となっています。
肩こりに悩む人は非常に多く、その改善により日常生活がより良くなることを願っています。本記事では、肩こりの原因、日常生活での注意点、そして治療方法について解説します。
目次
肩こりとは
「肩こり」という表現は日本特有であり、海外にはこれに代わる表現はありません。「肩が凝る」という言葉は、明治時代の文豪である夏目漱石が1910年に発表した小説『門』で初めて使われたと言われています。それまで「肩が張る」という表現が一般的でしたが、漱石の表現が広がり「肩こり」という言葉が定着しました。
多くの人は、首の後ろから肩甲骨や肩周囲の不快感や重苦しい感じを「肩こり」と表現します。肩こりは症状の一つであり、必ずしも筋肉のこりとは限りません。厚生労働省の報告によれば、男性の約6%、女性の約13%が肩こりを自覚しており、10人に1人が肩こりを抱えています。
肩こりの原因は
肩こりの原因は非常に様々です。筋肉由来の痛みが多いですが、腫瘍、感染、神経障害など重篤な疾患が隠れていることもあります。特に、僧帽筋という肩から背中にかけて走る大きな筋肉が原因であることが多いです。
肩こりと仕事の関係性として、以下の要因が挙げられます:
- 睡眠不足
- デスクワークによる体幹筋力の低下
- 仕事による抑うつ気分
姿勢によって首にかかる負担が増し、首に痛みが生じることがあります。特にストレートネックの状態では、頭が体の上に乗っていないため、首に負担がかかりやすいです。
姿勢によって、首にかかる負担がかかってくるため、それに伴い首に痛みが生じます。
いわゆるストレートネックの状態では、頭が身体にのっかるような位置にないため、首に負担がかかりやすい状態です。
整形外科の受診のすすめ
肩こりと思っていても、さまざまな原因が隠れていることがあります。例えば、首からの神経痛が肩こりのような症状として現れることがあります。特に「ピリピリ」とする痛みがある場合は神経痛の可能性が高いです。
この場合、頸椎ヘルニアや頸椎症が原因であることが考えられます。
肩こりを放置せず、一度整形外科に相談することをお勧めします。
肩こりはどうやって診断するのか?
肩こりの診断は難しいですが、痛みの場所に圧痛があるか、身体の所見で各筋肉を動かして違和感や痛みがあるかを確認します。また、頸椎症や五十肩、その他の重篤な疾患がないかも注意して診察します。
肩こりの治療
肩こりの治療には大きく分けて3種類あります:
- 内服薬・外用薬
- 注射(トリガーポイント注射、ブロック注射、筋膜リリース)
- 運動療法・物理療法
内服薬・外用薬
ロキソニン系の薬や湿布を用いることが多く、肩こりによる障害を改善すると報告されています。痛みだけでなく、首の動きや日常生活の不快感を解消してくれる効果があります。
注射
トリガーポイント注射は、痛みや炎症のある部位に直接麻酔薬と生理食塩水を注入することで炎症物質を流し出し、痛みを改善します。実際に、肩こりで受診された患者様で、トリガーポイント注射をした直後から痛みがなくなった方もいます。痛みの部位がはっきりしている方ほど効果が得られやすいです。
理学療法、物理療法
筋力トレーニング、温熱療法や電気刺激を痛み止めや注射と併用することで、より効果的に痛みを取ることが報告されています。理学療法士が固くなった筋肉や筋膜をほぐし、動きをスムーズにする治療を行います。医師と理学療法士がタッグを組むことで、より良い治療が可能となります。物理療法では、患部の血流を改善して症状を和らげますが、基本的には他の治療と組み合わせて行います。
まとめ
肩こりには様々な疾患が隠れている可能性があるため、一度医療機関の受診をお勧めします。整形外科では、湿布だけでなく注射やリハビリを組み合わせた治療を行うことが可能です。肩こりでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。