重たいものを持った時に急に腰痛が出てきました。
痛みで歩けません
お尻や足の方に電気が走るような痛みはありませんか？
ピリピリとした感じもあります
椎間板ヘルニアによる神経痛の場合は内服やブロック注射で良くなる事が多いです。
副作用が出ないか確認しながら調整していきます。
それでも効果がなく痛みが強く、麻痺がある場合には手術が必要となることがあります。
目次
ヘルニアとは？
「ヘルニア」という言葉は、身体の一部が本来あるべき場所から飛び出してしまった状態を指します。
整形外科で使われる場合は「椎間板ヘルニア」、消化器外科で使われる場合は「鼠径ヘルニア」を指すことが多いです。
- 椎間板ヘルニア: 椎間板が外に出てきた状態
- 鼠径ヘルニア: 腸が腹部から飛び出した状態
腰痛・下肢痛の原因は多岐に渡りますが、原因の１つとして椎間板ヘルニアの事があります。
今回は腰椎椎間板ヘルニアについて症状と診断・治療について解説いたします。
腰のヘルニアは腰痛の原因
腰痛で整形外科を受診した際、レントゲン画像を見ながら「ヘルニアかもしれない」と言われたことはありませんか？実は、腰痛とレントゲン画像だけでは椎間板ヘルニアかどうかを判別するのは難しいのです。正確な診断には、身体所見や画像所見を合わせて評価する必要があります。
腰の痛みは片側に現れることが多いですが、圧迫骨折も片側の痛みを引き起こすことがあります。そのため、診察だけで誤診することもあります。
腰椎椎間板ヘルニアの有病率
腰椎椎間板ヘルニアは、人口の約1％が持っていると言われています。1％というと少なく感じるかもしれませんが、日本の人口1.2億人の1％は約120万人に相当します。これは非常に多くの人が腰椎椎間板ヘルニアを抱えていることを意味します。
腰椎椎間板ヘルニアとは
椎間板ヘルニアは、椎間板の変性や体重、重い物を持つなどの外力によって繊維輪が破綻し、髄核が飛び出すことで起こります。
椎間板は後方に脱出することが多く、神経の通り道を圧迫して神経痛を引き起こします。神経を圧迫して神経痛を生じます。
椎間板ヘルニアの症状
腰・お尻あたりから足にかけてびりびりとした痛み
左右どちらかの痛み
このような痛みの場合は椎間板ヘルニアによる症状の可能性があります。
左側にヘルニアが出れば左側の痛み、右側のヘルニアなら右側の痛みになります。
ヘルニアによる神経痛の場合は上の図のような神経の領域に沿った痛みがでます。
その他の症状
- 疼痛性跛行: 痛みが非常に強い場合、体をかがめながら片足の膝を曲げて歩くことがあります。
- 疼痛性側弯: 痛みのために背骨が曲がった状態になることがあります。
馬尾症候群
ヘルニアが中央に大きく突出すると、本管の神経の集合体（馬尾）を圧迫することがあります。この場合、以下のような症状が現れることがあります。
- 広範囲の感覚障害
- 膀胱直腸障害: 尿が出にくい、排便がコントロールできないなどの症状
椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアは、椎間板の変性や体重、重い物を持つなどの外力によって繊維輪が破綻し、髄核が飛び出すことで起こります。椎間板は後方に脱出することが多く、神経の通り道を圧迫して神経痛を引き起こします。
椎間板ヘルニアの好発年齢と場所
- 好発年齢: 20〜40歳代
- 好発部位: 腰椎の下部、L4-L5間およびL5-S1間
腰椎椎間板ヘルニアの診断
- 身体所見: 下肢伸展挙上試験 （膝を延ばしたまま足を挙上して 痛みが生じるが見る）
痛みが神経の領域に沿ってある。その神経が支配している領域の筋力の低下 - 画像所見: MRI
- 神経根ブロック: 痛みを生じている神経に痛み止めを打つことで痛みが無くなるか確認
- 脊髄造影
上の様なヘルニアを持っている方は多いのですが、これが痛みと関わっているとは限りません。
そのため、それぞれから総合的に判断することになります。
よくあるL5神経根の障害の場合は、大腿の外側～下腿外側の痛みを生じます。また、麻痺している場合は足首や親指を反る（背屈）出来なくなり、スリッパや脱げやすい、階段を上るときに足が引っかかるなどの症状が現れます。
そういった身体所見とMRIで椎間板が突出している画像と合わせて診断を行います。
また、神経根ブロック注射といって、痛みの原因となる神経に直接 麻酔薬を打つことで痛みが無くなるか確認することで診断と治療を兼ねることがあります。
椎間板ヘルニアの治療
- 安静・コルセット
- 内服治療: ロキソニン、リリカ、タリージェ、サインバルタなど
- ブロック注射: 神経根ブロック、硬膜外ブロック
- 牽引・運動療法
- 手術: 痛みが強く、内服薬やリハビリで改善しない場合や麻痺がある場合
ブロック注射などを行っても激痛が残り、痛すぎて動けないような状態や麻痺や排尿障害がある場合は早期の手術をお勧めします。
痛みが落ち着いたとしてもしびれ自体の改善は乏しいと言われているため長い目で見る必要があります。
椎間板ヘルニアの痛みについての長期成績は
保存療法（手術以外の方法での治療）と手術治療とでは差がない5)
とも言われていたりもします。まだ痛みながらに動けている方は痛みは時間とともに良くなりますので焦らずに治療することが肝心です。
まとめ
椎間板ヘルニアは、通常は薬やリハビリで治療しますが、症状が強い場合はブロック注射や手術が必要です。
麻痺や膀胱直腸障害がある場合には、早期の手術が好ましいです。
手遅れにならないように、早期の受診をおすすめします。
参考文献
4. Vroomen PCAJ, et al (1999) Diagnostic value of history and physical examination in patients suspected of sciatica due to disc herniation: a systematic review. Journal of Neurology 246:899-906.
5. Peul WC, et al (2007) Surgery versus prolonged conservative treatment for sciatica. N Engl J Med 356:2245-2256.
