下肢

【変形性股関節症】股関節痛、歩くと痛い

目次

変形性股関節症とは

変形性股関節は、大腿骨と骨盤のある間の骨と骨の接合部の股関節の部分の軟骨がすり減り、炎症そして痛みを発症させる病気です。

そして、すり減って骨同士がぶつかることで更に軟骨の状態を悪化させていきます。

変形性股関節症の方は非常に多く、わが国の変形性股関節症の有病率は1.0~4.3%で、120万~510万人程度と言われています。男性は0-2%、女性は2-7.5%と日本においては股関節の形態上、女性に多く見られます。

変形性股関節症の症状

「歩くと股関節が痛い」

「臀部が痛い」

「股関節の動きが悪い」

このような症状の方は変形性股関節症の可能性があります。

女性に多い原因としては臼蓋形成不全が多いです。

その他、初期の場合には関節唇損傷による痛みの事があり

「引っかかり感、違和感」

「急に股関節が動かせなくなる(ロッキング)」

「あぐらや靴下履き、爪切りなどで、股関節を捻ると痛い」

「座っている際、寝返りで痛みや違和感」

といった症状を呈することがあります。

悪化してくると、股関節が動かしにくい、動かすだけで痛みがある状態になります。

膝とは違い、股関節は奥の方にある臓器で、また関節も小さく水がたまりにくいことから、腫れたりすることはありません。

原因

  • 臼蓋形成不全症
  • 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)

といったものが原因となった2次性の変形性股関節症が多く見られます。

変形性股関節症の8割以上が臼蓋形成不全によると言われています。

一方で、原因が特にない一次性の変形性股関節症と言われていた中に大腿骨頭と寛骨臼側との衝突に起因する大腿骨寛骨臼インピンジメントという病態が関連しているのではないかと言われています。

また、初期の場合には股関節痛の痛みの原因は関節唇損傷のことがあります。

臼蓋形成不全

大腿骨の丸い骨頭(こっとう)が、骨盤側のお皿のような臼蓋といわれる部分の中にはまって、自由に動くようになっています。

臼蓋形成不全とは、この臼蓋の形が小さいために、大腿骨頭が臼蓋に収まらず、はみ出している状態のことをいいます。収まりが悪いために、臼蓋に負担がかかりやすく、軟骨がすり減りやすい状態です。

8割以上が臼蓋形成不全が原因と言われています。

臼蓋形成不全症は男性には少なく、女性に多いことから、変形性股関節症は女性に多く見られます。

大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)

大腿骨と臼蓋の形態の異常のために、股関節を動かした際に大腿骨と臼蓋が衝突しやすい状態のことがあります。

インピンジメントの原因としては

  • Pincerタイプ:臼蓋側の過剰な被覆
  • Camタイプ:大腿骨側の膨隆

が挙げられます。

衝突に伴って、寛骨臼の関節唇が損傷されて、股関節痛を来たし、やがて軟骨破壊が進行することで変形性股関節症になります。

身体所見として、前方インピンジメントテスト陽性の場合に疑います。

関節唇損傷

初期の場合は関節唇損傷による股関節の痛みのことがあります。その場合は「引っかかり感、違和感」といった症状を呈する事があります。

関節唇は股関節のまわりに唇のように付着して、取り囲んでいる柔らかい軟骨で、大腿骨頭を包み込んでいる部分のことです。これが大腿骨頭を安定化させ、衝撃吸収の役割を担っています。

この関節唇には神経が存在し、損傷を受けると痛みが生じます。関節唇が損傷すると骨頭が安定しなくなり、軟骨がすり減って変形性股関節症になってしまいます。

診断

レントゲンと身体所見から診断します。

特徴的なレントゲンでは、関節列隙(関節のすき間)が狭くなり、骨の突起(骨棘)が周りに出来てきます。進行してくると、脱臼股といって、骨頭が臼蓋の外に飛び出ていきます。

 関節裂隙の狭小化:関節同士のすきまが狭くなる

 骨硬化:レントゲンで白く写ります

 骨棘形成:骨同士の刺激によって、通常はないような骨の出っ張りが横に出来てきます

といった所見が出てきます。

 脱臼股:骨頭が臼蓋の外に飛び出てきます

股関節痛を呈する原因としては変形性股関節症以外にも

大腿骨頭壊死症、大腿骨頸部骨折、関節リウマチ

などがあるため、症状や病態によってはMRI検査や血液検査などを行い、鑑別します。

治療方法

  • 鎮痛剤
  • 運動療法(リハビリ、日常運動)
  • 体重減量
  • 関節内注射

手術(骨盤骨切り・臼蓋形成術、人工股関節置換術)

になります。

減量を初めとする「体重コントロール」と股関節周りの「筋力トレーニング」が大切です。

肥満も変形性股関節症の原因です。同様に思い物をもつ仕事の方や股関節を過度にうごかす仕事の方は股関節に負担がかかるため変形性股関節症になりやすいと言われています。

そのため、

筋力トレーニングでは、股関節に負担をかけすぎないようにしつつ、太ももやおしりの筋力トレーニングを行います。中でも効果的なのが「水中ウォーキング」です。浮力のおかげで、より少ない過重でトレーニングを行うことが可能です。適度な運動は、活動性を上げるだけでなく痛みを感じないようになる効果も有ると言われています。

このような減量や適度な運動などの保存的治療を続ければ、手術を回避することも可能です。

また、頑固な痛みの場合には関節内注射を行うことがあります。時々、股関節や臀部の痛みの際に腰椎由来の神経痛が原因のことがあり、判別が難しいことがあります。股関節に注射して痛みが取れることが、股関節症が股関節痛の原因であることの証明にもなります。

手術としては、初期の段階の場合は関節温存術が取られることがあります。これは、臼蓋形成不全で骨盤側のお皿が小さい場合に、そのお皿を大きくするために、臼蓋を移動させたり、臼蓋から骨を取ってきて移植することによって覆いを大きくする方法です。

変形が進行し、痛みが改善しない場合は人工股関節置換術が行われます。

まとめ

変形性股関節症は初期の場合は鎮痛剤やリハビリによって、痛みを落ち着かせることの出来る疾患です。

股関節痛のある方は一度整形外科にご相談下さい。

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